6万人のビール祭りに飛び込んで気づいたこと──世界最大のイベントのリアルな姿【オクトーバーフェスト訪問記①】

ミュンヘンに行ってきました。
想像の20倍くらいすごかったです。これが正直な感想です。
「650万人が16日間で集まる」という数字は事前に知っていました。でも数字って不思議で、頭でわかっていても体に入ってこない。テレージエンヴィーゼ(Theresienwiese)に実際に足を踏み入れるまでは、本当の意味でわかっていなかったんだと思います。
今回から数回にわけて、私たちシュマッツスタッフが現地で見て・感じたことをそのままお伝えします。
地下鉄を降りた瞬間、もう別の世界だった
ミュンヘン中央駅(ハウプトバーンホフ)から地下鉄に乗って3駅。テレージエンヴィーゼ駅を降りると、改札を出た瞬間から空気が変わります。
正確には、電車に乗り込んだ時点からすでに変わっていました。駅ごとに、民族衣装を着た人がどんどん増えていく。青いワンピースのディルンドル、革のパンツのレーダーホーゼン。みんなどこか楽しそうで、電車の中からじわじわと気分が上がっていきます。
ちなみにミュンヘン中央駅から歩いても約15分。標識も出ているので迷う心配はありません。ただ、人の波に飲み込まれながら歩くことになります(笑)。
「広い」ってこういうことか、と思った
会場の総面積は42ヘクタール。東京ドーム約9個分です。
「ふんふん」と聞き流せそうですよね。私たちも最初はそうでした。でも実際に立ってみると、端から端まで約1.2km。歩いても歩いても「まだある」という感覚が続きます。
テントが14棟、合計席数が11万席を超える
その広大な敷地の中に、大きなビールテントが14棟、ずらりと建ち並んでいます。大テント1棟だけで6,000〜10,000席。最大のホフブロイ・フェストゥツェルトで約10,000席です。

日本で10,000席の会場といえばドームクラスの話ですよね。それが「テント」で、それが14棟ある。小テントも合わせると会場全体の総席数は11万席を超えます。この規模が16日間、毎日稼働しているわけです。
16日間でなんと670万人が来場する
2024年の来場者数は670万人(出典:ミュンヘン市公式 muenchen.de)。1日平均で40万人を超えます。
週末の昼下がりに現地にいると、「どこを見ても人、人、人」という状態で、視界が人で埋まっています。日本のイベントではこの広さとこの人ごみの密度は、なかなか体験できません。
テントの中へ──6,000人が同じタイミングでジョッキを掲げる
扉を開けると、熱気と音楽と笑い声が一気に押し寄せます。天井まで届く木の柱、揺れる照明。ほぼ全員が、1リットルの大きなジョッキ「マス(Maß)」を両手で持って飲んでいます。

「Ein Prosit!」──全員が同じタイミングで動く
しばらくすると、バンドの演奏が止まって誰かが叫ぶんです。「アイン・プロジット(Ein Prosit)!」──乾杯、という意味です。
すると6,000人が一斉にジョッキを高く掲げる。ドイツ語がわからなくても、周りを見ていれば自然と体が動きます。私たちも気づいたら一緒にジョッキを上げていました。笑いながら。あの一体感、ちょっと言葉にできません。
席を「取る」が最初のミッション
テントで意外と苦労するのが、席の確保です。入場は無料。でも席はフリー席と予約席に分かれていて、フリー席は早い者勝ち。週末の午後になるとほぼ埋まります。
「行けばなんとかなるでしょ」という気持ちで向かうと、入場できてもどこにも座れない──という事態になりかねません。席の確保からが、オクトーバーフェストの本当のスタートです。
オクトーバーフェストといえば、「伝統的な民族衣装」と思っていた
会場を歩いていると、多くの人が民族衣装姿で楽しんでいます。ディルンドルかレーダーホーゼン。
「何百年も続くドイツの伝統的な衣装がオクトーバーフェスト用の衣装として生き残った」と思っていたのですが、歴史を調べると実はちょっと違うみたい。

「民族衣装で来る」のは、2000年代以降の習慣
オクトーバーフェストが始まったのは1810年ですが、当時の来場者は燕尾服とシルクハット姿でした。ディルンドルやレーダーホーゼンは「農村の作業着」で、都市の人が着るものではなかったんです。
それどころか、レーダーホーゼンはなんと1883年に地元の教会から「不道徳な服装」として禁止処分を受けているんですよね(出典:oktoberfest.de)。その禁止令が1930年代まで続いたとか。民族衣装でオクトーバーフェストに来る習慣が広まったのは2000年代以降のことで、それ以前は「ダサいもの」という認識さえあったそうです。
いまの「絵になる伝統的なお祭り」のイメージ、実はここ20〜30年でできあがったものなんです。
外国人が着るのはOK?
「着たほうが楽しい」が現地での答えでした。ドイツ人の多数派は「文化を一緒に楽しんでくれて嬉しい」という反応です。ただしコスプレ的な安っぽい衣装はNG。本格的なディルンドルは200ユーロ前後から、鹿革のレーダーホーゼンは品質のよいものなら1,000ユーロを超えることも。「一生もの」として買う人も少なくないようです。
帰り道にガソリンスタンドへ寄ったら、もう一つの驚きがあった
会場からの帰り道、ちょっと寄り道をしました。ガソリンスタンドです。
「なんで?」と思いますよね。実はこれ、ドイツの日常文化を知るうえでとても大事な場所なんです。
ドイツにはコンビニがない──日曜のビールはどこで買う?
日本では24時間コンビニが当たり前ですが、ドイツにはほとんどコンビニが存在しません。さらに「連邦閉店法(Ladenschlussgesetz)」という法律のもと、スーパーマーケットは日曜日・祝日にほぼ全店が閉まります。
「じゃあ日曜日にビールが切れたらどうするの?」──その答えが、ガソリンスタンドです。
法律の例外として24時間営業が認められているため、日曜や夜間のビール調達が唯一できる場所になる。友人宅のパーティへの手土産として「タンクステル(Tankstelle)でビールを買っていく」が普通の行動として成立しているんです。日本でガソリンスタンドに立ち寄る理由は給油くらいですよね。この感覚の違い、面白くないですか?
「常時冷えている」がフレッシュさの証
もう一つ気になったのが、ガソリンスタンドのビールの質です。
ドイツのスーパーでは、瓶ビールが室温の棚に並んでいることが多い。家に持ち帰って冷蔵庫へ、というスタイルです。一方ガソリンスタンドの冷蔵ケースは常時しっかり冷えていて、回転も速い。「ガソリンスタンドのビールは新鮮で美味しい」というドイツ人の感覚は、こういうところから来ています。
実はシュマッツのスタッフもドイツ出張のお土産を買うとき、ガソリンスタンドに寄ることがあります。できるだけ新鮮な状態のビールを持ち帰るために。
次回は、「絶対ここだけは外すな」と言われたテントへ
今回は会場全体のリアルをお伝えしました。
ミュンヘン訪問の前に、現地出身の方からこう言われていたんです。「6つのテントを全部試してもいいけど、絶対ひとつだけ外せないテントがある」と。そのテントが、なぜ別格なのか。次回の訪問記②でお伝えします。
本場ミュンヘンのビールを、まずご自宅で試してみませんか?シュマッツのオンラインショップではドイツビールを取り揃えています。ぜひのぞいてみてください。
レストランでは本場スタイルのドイツビールと料理をお楽しみいただけます。ビールの選び方もスタッフがご案内しますので、お気軽にどうぞ。
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