blog

ピルスナーに合う料理──ドイツの食卓と、日本の食卓から

ピルスナーに合う料理──ドイツの食卓と、日本の食卓から

ピルスナーに合う料理──ドイツの食卓と、日本の食卓から 「このビール、何と合わせるのがいいですか?」 レストランで、よくいただく質問です。いつもだいたい同じことをお答えしています。 ピルスナーについては、脂の多いもの、揚げたてのもの。唐揚げでも、餃子でも、天ぷらでも。といった方向性でしょうか。 ただ、それだけだと少しもったいない気もしています。ドイツで実際に何と一緒に飲まれているのか、なぜその組み合わせが成立するのか、そして合わないものは何か。そこまで分かると、家の食卓でも選び方が変わります。 ◯ ドイツの食卓で、ピルスは何と並んでいるか 先にひとつ。ドイツでは「この料理にはこのビール」と考えて選ぶ場面が、日本で想像されるほど多くありません。 その土地でつくられているビールを飲む。それが基本です。北ドイツはピルスの土地なので、北の食べ物がそのままピルスの相棒になってきました。理屈から入ったペアリングではなく、毎日並んでいるうちに定着した組み合わせなんです。   💡 揚げたてのシュニッツェルと、焼いたソーセージ まず出てくるのは、やはり揚げものです。 薄く叩いた肉に衣をつけて揚げるシュニッツェルは、ドイツ全土で食べられている定番。付け合わせは、たいてい炒めたじゃがいもかポテトフライです。皿の上が油と塩で構成されていて、そこに冷えたピルスが来る。 焼いたソーセージも同じです。皮が弾けるくらい焼いて、マスタードを添える。ここでも、ビールの側が担っているのは脂を流す役割です。   💡 カレー粉のかかったソーセージと、苦みの関係 もう一つ、工業地帯のある西の街でよく見かけるのが、ケチャップとカレー粉のソースをかけたソーセージ(カリーヴルスト)です。 甘くて、香辛料が効いていて、下にはポテトフライが敷いてある。かなり強い味です。この甘辛いソースに対して、ピルスのホップの苦みがちょうど拮抗する。甘さを苦みが切って、次の一口が重くならない。 現地で食べると、これがビール込みで完成している料理だということがよく分かります。ビールなしで食べると、途中で少し甘さが勝ってきてしまう。   ◯ 脂の多い料理と合うのには、理由がある ここまで「脂を流す」と書いてきましたが、実際には三つの働きが同時に起きています。   *苦みが、脂を切る 一つ目が、ホップの苦みです。 脂の多いものを食べ続けると、舌の表面に膜が張ったような感覚になります。三個目の唐揚げあたりから、味が分かりにくくなる、あの感じです。 苦みには、この膜を断ち切る働きがあります。甘みやうま味と違って、脂と手を組まない。だから口の中に残った脂の印象を、上書きせずに払ってくれる。ピルスナーの苦みが「強い」のではなく「はっきりしている」タイプなのは、この役目に向いています。...

ピルスナーに合う料理──ドイツの食卓と、日本の食卓から

ピルスナーに合う料理──ドイツの食卓と、日本の食卓から 「このビール、何と合わせるのがいいですか?」 レストランで、よくいただく質問です。いつもだいたい同じことをお答えしています。 ピルスナーについては、脂の多いもの、揚げたてのもの。唐揚げでも、餃子でも、天ぷらでも。といった方向性でしょうか。 ただ、それだけだと少しもったいない気もしています。ドイツで実際に何と一緒に飲まれているのか、なぜその組み合わせが成立するのか、そして合わないものは何か。そこまで分かると、家の食卓でも選び方が変わります。 ◯ ドイツの食卓で、ピルスは何と並んでいるか 先にひとつ。ドイツでは「この料理にはこのビール」と考えて選ぶ場面が、日本で想像されるほど多くありません。 その土地でつくられているビールを飲む。それが基本です。北ドイツはピルスの土地なので、北の食べ物がそのままピルスの相棒になってきました。理屈から入ったペアリングではなく、毎日並んでいるうちに定着した組み合わせなんです。   💡 揚げたてのシュニッツェルと、焼いたソーセージ まず出てくるのは、やはり揚げものです。 薄く叩いた肉に衣をつけて揚げるシュニッツェルは、ドイツ全土で食べられている定番。付け合わせは、たいてい炒めたじゃがいもかポテトフライです。皿の上が油と塩で構成されていて、そこに冷えたピルスが来る。 焼いたソーセージも同じです。皮が弾けるくらい焼いて、マスタードを添える。ここでも、ビールの側が担っているのは脂を流す役割です。   💡 カレー粉のかかったソーセージと、苦みの関係 もう一つ、工業地帯のある西の街でよく見かけるのが、ケチャップとカレー粉のソースをかけたソーセージ(カリーヴルスト)です。 甘くて、香辛料が効いていて、下にはポテトフライが敷いてある。かなり強い味です。この甘辛いソースに対して、ピルスのホップの苦みがちょうど拮抗する。甘さを苦みが切って、次の一口が重くならない。 現地で食べると、これがビール込みで完成している料理だということがよく分かります。ビールなしで食べると、途中で少し甘さが勝ってきてしまう。   ◯ 脂の多い料理と合うのには、理由がある ここまで「脂を流す」と書いてきましたが、実際には三つの働きが同時に起きています。   *苦みが、脂を切る 一つ目が、ホップの苦みです。 脂の多いものを食べ続けると、舌の表面に膜が張ったような感覚になります。三個目の唐揚げあたりから、味が分かりにくくなる、あの感じです。 苦みには、この膜を断ち切る働きがあります。甘みやうま味と違って、脂と手を組まない。だから口の中に残った脂の印象を、上書きせずに払ってくれる。ピルスナーの苦みが「強い」のではなく「はっきりしている」タイプなのは、この役目に向いています。...

シュマッツのジャーマンピルスナーは何が違う?

シュマッツのジャーマンピルスナーは何が違う?

シュマッツのジャーマンピルスナーは何が違う? シュマッツの缶に、3本目が加わります。 ヴァイツェン缶、ヘレス缶に続く、ジャーマンピルスナー。ドイツで醸造した一本です。 そうお伝えすると、たぶん最初に聞かれるのはこれだと思います。「ヘレスと何が違うの?」「ラガーとは?」 もっともな疑問です。今日はそこから先にお答えします。 ◯ 3本並べると、まず色が違う ラガーだけ、はっきり色が濃い 意外に思われるかもしれませんが、この3本は見た目からして違います。 シュマッツの「ラガー」は、黄金色というより琥珀色に近い。赤みがかった、深い色をしています。ヘレスはそれよりずっと淡くて、やわらかい金色。そして新しいジャーマンピルスナーは、その中間というより、もっと澄んだ薄い金色です。 グラスに3つ並べると、光の通り方が明らかに違います。   ◯ 色の差より、味の差のほうが大きい ただ、色はあくまで入口です。 この3本のほんとうの違いは、麦芽とホップのどちらが前に出るか、そのバランスにあります。ここが分かると、どれを選ぶべきかがはっきりします。 🍺 ヘレスは、麦芽の甘みが前に出る 角がなくて、丸い シュマッツのヘレスを飲むと、最初に来るのは麦のやわらかい甘みです。 ホップは支える側に回っていて、香りでも苦みでも前には出てきません。飲んだあとも、麦の甘さがふわっと残る。刺さるところがどこにもない味、と言ってもいいかもしれません。 3本の中でいちばん、口当たりがやさしい一本です。 苦いのが苦手な人ほど、これになる 「苦いビールは苦手」という方が、ヘレスは飲めた。そういう話をよく聞きます。 苦みが立たないので、ビールを飲み慣れていない方でも身構えずに飲める。飲み口のやわらかさが、そのまま安心感になっているんです。 人に贈るときにも選びやすい一本です。相手の好みが分からないときは、まずこれ。   🍺 ラガー(メルツェン)は、厚みとコク 色が濃いのは、厚みの表れ...

シュマッツのジャーマンピルスナーは何が違う?

シュマッツのジャーマンピルスナーは何が違う? シュマッツの缶に、3本目が加わります。 ヴァイツェン缶、ヘレス缶に続く、ジャーマンピルスナー。ドイツで醸造した一本です。 そうお伝えすると、たぶん最初に聞かれるのはこれだと思います。「ヘレスと何が違うの?」「ラガーとは?」 もっともな疑問です。今日はそこから先にお答えします。 ◯ 3本並べると、まず色が違う ラガーだけ、はっきり色が濃い 意外に思われるかもしれませんが、この3本は見た目からして違います。 シュマッツの「ラガー」は、黄金色というより琥珀色に近い。赤みがかった、深い色をしています。ヘレスはそれよりずっと淡くて、やわらかい金色。そして新しいジャーマンピルスナーは、その中間というより、もっと澄んだ薄い金色です。 グラスに3つ並べると、光の通り方が明らかに違います。   ◯ 色の差より、味の差のほうが大きい ただ、色はあくまで入口です。 この3本のほんとうの違いは、麦芽とホップのどちらが前に出るか、そのバランスにあります。ここが分かると、どれを選ぶべきかがはっきりします。 🍺 ヘレスは、麦芽の甘みが前に出る 角がなくて、丸い シュマッツのヘレスを飲むと、最初に来るのは麦のやわらかい甘みです。 ホップは支える側に回っていて、香りでも苦みでも前には出てきません。飲んだあとも、麦の甘さがふわっと残る。刺さるところがどこにもない味、と言ってもいいかもしれません。 3本の中でいちばん、口当たりがやさしい一本です。 苦いのが苦手な人ほど、これになる 「苦いビールは苦手」という方が、ヘレスは飲めた。そういう話をよく聞きます。 苦みが立たないので、ビールを飲み慣れていない方でも身構えずに飲める。飲み口のやわらかさが、そのまま安心感になっているんです。 人に贈るときにも選びやすい一本です。相手の好みが分からないときは、まずこれ。   🍺 ラガー(メルツェン)は、厚みとコク 色が濃いのは、厚みの表れ...

ドイツビールの「ドイツっぽさ」とは何なのか

ドイツビールの「ドイツっぽさ」とは何なのか

ドイツのビールをビールに詳しい人に飲んでもらうと、「あ、ドイツっぽい」と言われることがあります。 でもその理由や違いを言葉にして表現するのはとても難しいです。ドイツで飲んだ記憶があるわけでもないのに、一口飲んだ瞬間になんとなくそう感じる。 では、その「ドイツっぽさ」の正体は何なのでしょうか。 色は日本のビールと同じような黄金色で、見た目はほとんど変わりません。それなのに、確かに違う。今日はその正体を、ひとつずつ分解してみます。 ◯「ドイツっぽさ」は、ビールの種類の違いから来るのではない   *ドイツのビールも、日本のビールと同じ系統にいる 先に前提を一つ。日本の売り場に並ぶ黄金色のビールも、ドイツでいちばん飲まれているビールも、じつは同じ「ピルスナー」という系統に属します。 ドイツのビール市場のおよそ半分がこのピルスナー。そしてそのドイツで育ったものがジャーマンピルスナーです。日本のビールとは遠い親戚どころか、同じ家系の中での違いということになります。   *近いからこそ、差が浮き上がる 黒ビールと日本のビールを飲み比べても、「違って当たり前」で話が終わってしまいます。 ところが同じピルスナーの系統どうしだと、見た目がほぼ同じぶん、香りと苦みの差だけがくっきり浮かび上がる。 「なんだこれ、同じようなビールのはずなのに」という戸惑いは、二つが遠いからではなく、近いから起きているわけです。「ドイツっぽさ」の正体は、この差の中にあります。 🍺ドイツっぽさ① 鼻に来る香りの量 *口をつける前に、もう香っている グラスに注いだ瞬間から、草やハーブのような青い香りが立ちます。飲む前から香っている、というのがまず日本のビールとの大きな違いです。 甘い香りではありません。摘みたての草を手でこすったような、落ち着いた匂い。華やかというより、静かな香りです。 慣れてくると、この香りが立った瞬間に「今日はいい状態だな」と分かるようになります。逆に香りが弱いときは、たいてい冷やしすぎか、注いでから時間が経ちすぎているかのどちらかです。   *いちばん簡単な確かめ方 日本のビールを先に一口飲んでから、ドイツのピルスに移ってみてください。 順番はこの向きが大事です。 「ドイツっぽい」と言われるとき、その多くはまずこの香りを指しています。味の記憶より先に、鼻が反応しているわけです。   🍺ドイツっぽさ② 苦みが、少し長くいる *「キレ」とは、逆の考え方 もう一つは、苦みが消えるまでの時間です。 日本のビールで褒め言葉として使われる「キレ」は、飲み込んだあとに何も残らないこと。すっと消えるから、次の一口が軽くなる。暑い日にごくごく飲む場面では、これが本当に気持ちいい。 ドイツのピルスは、そこが逆です。苦みが少し長く舌にとどまり、飲み込んだあとも余韻が残っている。何も残らないことを目指していない、と言ってもいいかもしれません。...

ドイツビールの「ドイツっぽさ」とは何なのか

ドイツのビールをビールに詳しい人に飲んでもらうと、「あ、ドイツっぽい」と言われることがあります。 でもその理由や違いを言葉にして表現するのはとても難しいです。ドイツで飲んだ記憶があるわけでもないのに、一口飲んだ瞬間になんとなくそう感じる。 では、その「ドイツっぽさ」の正体は何なのでしょうか。 色は日本のビールと同じような黄金色で、見た目はほとんど変わりません。それなのに、確かに違う。今日はその正体を、ひとつずつ分解してみます。 ◯「ドイツっぽさ」は、ビールの種類の違いから来るのではない   *ドイツのビールも、日本のビールと同じ系統にいる 先に前提を一つ。日本の売り場に並ぶ黄金色のビールも、ドイツでいちばん飲まれているビールも、じつは同じ「ピルスナー」という系統に属します。 ドイツのビール市場のおよそ半分がこのピルスナー。そしてそのドイツで育ったものがジャーマンピルスナーです。日本のビールとは遠い親戚どころか、同じ家系の中での違いということになります。   *近いからこそ、差が浮き上がる 黒ビールと日本のビールを飲み比べても、「違って当たり前」で話が終わってしまいます。 ところが同じピルスナーの系統どうしだと、見た目がほぼ同じぶん、香りと苦みの差だけがくっきり浮かび上がる。 「なんだこれ、同じようなビールのはずなのに」という戸惑いは、二つが遠いからではなく、近いから起きているわけです。「ドイツっぽさ」の正体は、この差の中にあります。 🍺ドイツっぽさ① 鼻に来る香りの量 *口をつける前に、もう香っている グラスに注いだ瞬間から、草やハーブのような青い香りが立ちます。飲む前から香っている、というのがまず日本のビールとの大きな違いです。 甘い香りではありません。摘みたての草を手でこすったような、落ち着いた匂い。華やかというより、静かな香りです。 慣れてくると、この香りが立った瞬間に「今日はいい状態だな」と分かるようになります。逆に香りが弱いときは、たいてい冷やしすぎか、注いでから時間が経ちすぎているかのどちらかです。   *いちばん簡単な確かめ方 日本のビールを先に一口飲んでから、ドイツのピルスに移ってみてください。 順番はこの向きが大事です。 「ドイツっぽい」と言われるとき、その多くはまずこの香りを指しています。味の記憶より先に、鼻が反応しているわけです。   🍺ドイツっぽさ② 苦みが、少し長くいる *「キレ」とは、逆の考え方 もう一つは、苦みが消えるまでの時間です。 日本のビールで褒め言葉として使われる「キレ」は、飲み込んだあとに何も残らないこと。すっと消えるから、次の一口が軽くなる。暑い日にごくごく飲む場面では、これが本当に気持ちいい。 ドイツのピルスは、そこが逆です。苦みが少し長く舌にとどまり、飲み込んだあとも余韻が残っている。何も残らないことを目指していない、と言ってもいいかもしれません。...

ジャーマンピルスナーとは?日本のビールの源流をたどる

ジャーマンピルスナーとは?日本のビールの源流をたどる

ジャーマンピルスナーとは?日本のビールの源流をたどる ジャーマンピルスナーとは、ドイツで育ったピルスナーのこと。ドイツのビールの約半分を占めるこのスタイルは、実は日本のビールの源流でもあります。チェコで生まれドイツで広まった経緯から、味の特徴、地域ごとの違いまでご紹介します。 居酒屋で最初に頼む生ビール。コンビニの棚から手に取る缶。日本で「ビール」と言われて思い浮かぶ、あの黄金色。 実はそのほとんどが「ピルスナー」と呼ばれるスタイルが原型で、ドイツでも最もよく飲まれているビールです。 そのドイツで育ったピルスナーが「ジャーマンピルスナー」。日本ではまだあまり耳にしない言葉かもしれません。でもたどっていくと、私たちが毎日飲んでいるビールの源流にあたります。   ◯ ジャーマンピルスナーとは、どんなビールか 先に答えを言ってしまいます。ジャーマンピルスナーとは、ドイツで育ったピルスナーのことです。 特徴は三つ。透き通った明るい黄金色であること。きりっとした苦みがあること。そしてホップの香りが立っていること。 すっきりしているのに、水っぽくはありません。麦の甘みのうしろから苦みが追いかけてきて、すっと消える。だからもう一口飲みたくなる。アルコールはおよそ5%前後で、食事をしながら何杯か飲む速度にちょうど合うようにできています。 ドイツビールというと、白く濁ったヴァイツェンやどっしりした黒ビールを思い浮かべる方が多いかもしれません。ところがドイツの人たちが日常でいちばん飲んでいるのはピルスナーです。ドイツ醸造者連盟の資料では、ドイツのビール市場のおよそ半分。「ドイツ人がいちばん好きなビール」と紹介されているほどです。   ◯ 「ジャーマン」がつく理由──生まれはチェコ、育ちはドイツ ここで一つ、素朴な疑問が出てきます。なぜわざわざ「ジャーマン(ドイツの)」とつくのでしょうか。裏を返せば、ドイツ以外のピルスナーもある、ということです。 1842年、チェコの小さな町で生まれた ピルスナーの故郷は、実はドイツではありません。チェコのピルゼンという町です。1842年のことでした。 いまもチェコのピルスナーは「ボヘミアン・ピルスナー」と呼ばれます。ボヘミアとは、ピルゼンのあるチェコ西部の地方の名前です。 それまでのビールは、濁っていて色が濃いのが当たり前。そこに現れた、底まで透き通った黄金色のビール。ピルゼンの水は塩気が少なくやわらかく、この水だったからこそ、ホップをしっかり効かせても角が立たず、あのきれいな苦みが成立しました。 ビールの味は、その土地の水で決まる。ピルスナーはそれを証明した最初のビールでもあります。   ◯ 造ったのは、バイエルンから来た醸造技師だった この記念すべき最初の一仕込みを手がけたのは、地元チェコの職人ではありませんでした。ドイツ南部・バイエルンから招かれた醸造技師です。 低い温度でゆっくり発酵させるつくり方は、当時のバイエルンがいちばん得意としていた技術でした。その腕と、ピルゼンのやわらかい水と地元の材料が組み合わさって、あの黄金色が生まれた。ピルスナーは最初から、チェコとドイツの合作のようなところがあります。   ◯ なぜ、ドイツ中に広がったのか ではなぜ、チェコ生まれのこのビールがドイツ中に広まったのでしょうか。おいしかったから、というだけではありません。技術が追いついたからです。...

ジャーマンピルスナーとは?日本のビールの源流をたどる

ジャーマンピルスナーとは?日本のビールの源流をたどる ジャーマンピルスナーとは、ドイツで育ったピルスナーのこと。ドイツのビールの約半分を占めるこのスタイルは、実は日本のビールの源流でもあります。チェコで生まれドイツで広まった経緯から、味の特徴、地域ごとの違いまでご紹介します。 居酒屋で最初に頼む生ビール。コンビニの棚から手に取る缶。日本で「ビール」と言われて思い浮かぶ、あの黄金色。 実はそのほとんどが「ピルスナー」と呼ばれるスタイルが原型で、ドイツでも最もよく飲まれているビールです。 そのドイツで育ったピルスナーが「ジャーマンピルスナー」。日本ではまだあまり耳にしない言葉かもしれません。でもたどっていくと、私たちが毎日飲んでいるビールの源流にあたります。   ◯ ジャーマンピルスナーとは、どんなビールか 先に答えを言ってしまいます。ジャーマンピルスナーとは、ドイツで育ったピルスナーのことです。 特徴は三つ。透き通った明るい黄金色であること。きりっとした苦みがあること。そしてホップの香りが立っていること。 すっきりしているのに、水っぽくはありません。麦の甘みのうしろから苦みが追いかけてきて、すっと消える。だからもう一口飲みたくなる。アルコールはおよそ5%前後で、食事をしながら何杯か飲む速度にちょうど合うようにできています。 ドイツビールというと、白く濁ったヴァイツェンやどっしりした黒ビールを思い浮かべる方が多いかもしれません。ところがドイツの人たちが日常でいちばん飲んでいるのはピルスナーです。ドイツ醸造者連盟の資料では、ドイツのビール市場のおよそ半分。「ドイツ人がいちばん好きなビール」と紹介されているほどです。   ◯ 「ジャーマン」がつく理由──生まれはチェコ、育ちはドイツ ここで一つ、素朴な疑問が出てきます。なぜわざわざ「ジャーマン(ドイツの)」とつくのでしょうか。裏を返せば、ドイツ以外のピルスナーもある、ということです。 1842年、チェコの小さな町で生まれた ピルスナーの故郷は、実はドイツではありません。チェコのピルゼンという町です。1842年のことでした。 いまもチェコのピルスナーは「ボヘミアン・ピルスナー」と呼ばれます。ボヘミアとは、ピルゼンのあるチェコ西部の地方の名前です。 それまでのビールは、濁っていて色が濃いのが当たり前。そこに現れた、底まで透き通った黄金色のビール。ピルゼンの水は塩気が少なくやわらかく、この水だったからこそ、ホップをしっかり効かせても角が立たず、あのきれいな苦みが成立しました。 ビールの味は、その土地の水で決まる。ピルスナーはそれを証明した最初のビールでもあります。   ◯ 造ったのは、バイエルンから来た醸造技師だった この記念すべき最初の一仕込みを手がけたのは、地元チェコの職人ではありませんでした。ドイツ南部・バイエルンから招かれた醸造技師です。 低い温度でゆっくり発酵させるつくり方は、当時のバイエルンがいちばん得意としていた技術でした。その腕と、ピルゼンのやわらかい水と地元の材料が組み合わさって、あの黄金色が生まれた。ピルスナーは最初から、チェコとドイツの合作のようなところがあります。   ◯ なぜ、ドイツ中に広がったのか ではなぜ、チェコ生まれのこのビールがドイツ中に広まったのでしょうか。おいしかったから、というだけではありません。技術が追いついたからです。...

横浜赤レンガ オクトーバーフェストで飲めるRiedenburger全ガイド──5つの樽生ビールの味わいと、飲み比べのコツ

横浜赤レンガ オクトーバーフェストで飲めるRiedenburger全ガイド──5つの樽生ビール...

横浜赤レンガ オクトーバーフェストで飲めるRiedenburger全ガイド──5つの樽生ビールの味わいと、飲み比べのコツ 💡横浜赤レンガで飲める、「Riedenburger」という特別な選択 横浜赤レンガのオクトーバーフェスト、今年は9月18日(金)から10月4日(日)まで。会場にはずらりとドイツビールが並びます。 「どれも美味しそうで、逆に迷っちゃう」──わかります(笑)。せっかくの本場気分、できれば“ハズレなし”で楽しみたいですよね。 そこで今回ご案内したいのが、ドイツの有機ビール醸造所**リーデンブルガー(Riedenburger)**の樽生ビールです。創業1756年、8代続く家族経営の実力派。その醸造所がどれだけ“濃い”造り手なのかは こちらのコラムでじっくりお話ししました。今回は「実際、どれを飲めばいいの?」という、いちばん知りたいところに踏み込みます。会場で迷ったら、このページを思い出してみてください。   💡Riedenburgerビール、共通する3つの魅力 銘柄ごとの話に入る前に、リーデンブルガーのビール全体に共通する“ここがすごい”を3つだけ。これを知っておくと、一杯の味わいがぐっと深く感じられますよ。 ① すべてオーガニック(有機) 原料の麦やホップは、化学合成の農薬・肥料に頼らず育てた有機のものだけ。畑から醸造まで一貫して認証を受けた、正真正銘のオーガニックビールです。手間もコストもかかるこの道を、リーデンブルガーは30年以上前から歩んできました。 ② 基本は「無濾過」 できあがったビールから酵母などをあえて濾し取らず、そのまま樽や瓶へ。だからグラスはほんのり濁り、麦と酵母の旨味がまるごと生きています。造りたてに近い、生命力のある味わいです。 ③ ときに「古代の麦」まで使う エンマーやアインコルンといった、数千年前から育てられてきた“古代穀物”を使う銘柄も。香ばしくて奥行きのある、ここでしか出会えない個性が生まれます。ドイツビールの土台にある哲学はドイツビールってなんだろう?のコラムもどうぞ。   💡横浜会場で味わえる、5つの樽生ビール ここからが本番。横浜赤レンガの会場で、樽から注がれるリーデンブルガーをご紹介します。淡い色から濃い色へ、飲み進めたくなる順に並べてみました。 🍺Viva Bavaria Festbier ── まずはこれ。お祭りの主役 「オクトーバーフェストといえば!」の一杯を選ぶなら、まずこれ。ヴィヴァ・バヴァリア・フェストビアは、その名の通りお祭り(Fest)のために醸されたビールです。 琥珀がかった色合いに、白くきめ細かい泡。ひと口飲むと、焼きたてパンやカラメルを思わせる、香ばしくてほんのり甘いモルトの風味が広がります。度数は5%台半ばと、お祭りビールらしい飲みごたえ。この“琥珀色の飲み応え”の系譜はラガー(メルツェン)のコラムを読むと、もっと面白くなります。最初の乾杯にぴったりの一杯です。   🍺...

横浜赤レンガ オクトーバーフェストで飲めるRiedenburger全ガイド──5つの樽生ビール...

横浜赤レンガ オクトーバーフェストで飲めるRiedenburger全ガイド──5つの樽生ビールの味わいと、飲み比べのコツ 💡横浜赤レンガで飲める、「Riedenburger」という特別な選択 横浜赤レンガのオクトーバーフェスト、今年は9月18日(金)から10月4日(日)まで。会場にはずらりとドイツビールが並びます。 「どれも美味しそうで、逆に迷っちゃう」──わかります(笑)。せっかくの本場気分、できれば“ハズレなし”で楽しみたいですよね。 そこで今回ご案内したいのが、ドイツの有機ビール醸造所**リーデンブルガー(Riedenburger)**の樽生ビールです。創業1756年、8代続く家族経営の実力派。その醸造所がどれだけ“濃い”造り手なのかは こちらのコラムでじっくりお話ししました。今回は「実際、どれを飲めばいいの?」という、いちばん知りたいところに踏み込みます。会場で迷ったら、このページを思い出してみてください。   💡Riedenburgerビール、共通する3つの魅力 銘柄ごとの話に入る前に、リーデンブルガーのビール全体に共通する“ここがすごい”を3つだけ。これを知っておくと、一杯の味わいがぐっと深く感じられますよ。 ① すべてオーガニック(有機) 原料の麦やホップは、化学合成の農薬・肥料に頼らず育てた有機のものだけ。畑から醸造まで一貫して認証を受けた、正真正銘のオーガニックビールです。手間もコストもかかるこの道を、リーデンブルガーは30年以上前から歩んできました。 ② 基本は「無濾過」 できあがったビールから酵母などをあえて濾し取らず、そのまま樽や瓶へ。だからグラスはほんのり濁り、麦と酵母の旨味がまるごと生きています。造りたてに近い、生命力のある味わいです。 ③ ときに「古代の麦」まで使う エンマーやアインコルンといった、数千年前から育てられてきた“古代穀物”を使う銘柄も。香ばしくて奥行きのある、ここでしか出会えない個性が生まれます。ドイツビールの土台にある哲学はドイツビールってなんだろう?のコラムもどうぞ。   💡横浜会場で味わえる、5つの樽生ビール ここからが本番。横浜赤レンガの会場で、樽から注がれるリーデンブルガーをご紹介します。淡い色から濃い色へ、飲み進めたくなる順に並べてみました。 🍺Viva Bavaria Festbier ── まずはこれ。お祭りの主役 「オクトーバーフェストといえば!」の一杯を選ぶなら、まずこれ。ヴィヴァ・バヴァリア・フェストビアは、その名の通りお祭り(Fest)のために醸されたビールです。 琥珀がかった色合いに、白くきめ細かい泡。ひと口飲むと、焼きたてパンやカラメルを思わせる、香ばしくてほんのり甘いモルトの風味が広がります。度数は5%台半ばと、お祭りビールらしい飲みごたえ。この“琥珀色の飲み応え”の系譜はラガー(メルツェン)のコラムを読むと、もっと面白くなります。最初の乾杯にぴったりの一杯です。   🍺...

オクトーバーフェストの楽しみ方が変わる、ビールの選び方──迷ったら「スタイル」で選ぶ

オクトーバーフェストの楽しみ方が変わる、ビールの選び方──迷ったら「スタイル」で選ぶ

オクトーバーフェストの楽しみ方が変わる、ビールの選び方──迷ったら「スタイル」で選ぶ 秋になると、日本でも各地に長いテーブルが並びはじめます。 オクトーバーフェスト。ドイツから届いた樽生ビールを、外の風に当たりながら飲める、1年でいちばん贅沢な時期です。9月から10月にかけて、各地の会場が順番に開いていきます。 そこで、ひとつだけお伝えしたいことがあります。何をどの順番で飲むかで、同じ会場、同じ時間の心地よさがけっこう変わります。 選び方を少し知っておくだけで、その日の1杯がぐっと美味しくなるんです。 おすすめは、「スタイル」で選ぶこと。ドイツビールを毎日扱っている私たちから、その組み立て方をお話しさせてください。 💡 迷ったら、スタイルで選ぶのがおすすめ カウンターの前に立つと、名前がずらりと並んでいて、つい「とりあえず生で」と言いたくなりますよね。 好きな醸造所を見つけて名前で選ぶのは、ビールのいちばん楽しい部分だと思います。ただ、会場に並ぶのはドイツ各地の醸造所のビールで、ドイツでは何百年も続く地元の定番でも、日本ではまだ名前が広く知られていないものも多いんです。まだなじみがないうちは、名前から味を思い浮かべるのが難しい。私たちも、初めて見るドイツの醸造所名だとそうです。 そういうときは、スタイル名を探してみてください。 ヘレス。フェストビア。ヴァイツェン。デュンケル。ボック。この単語のどれかが、たいてい商品名の近くに書かれています。ドイツビールは、このスタイルの名前が味の設計図そのものなんです。名前を知らない醸造所のビールでも、スタイルが分かれば味の見当がつきます。 これがドイツビールのいちばん便利なところだと思います。 💡「色」「香り」「重さ」の3つだけ覚えれば足りる スタイルは何十種類もありますが、会場で必要な区別は3つで足ります。色が明るいか暗いか。香りが控えめか華やかか。飲み口が軽いか重いか。 たとえばヘレスは、明るくて、香りは控えめで、軽い。ボックは、暗くて、香りが濃く、重い。この座標のどこにいるかが分かれば、選択を間違えません。 スタイルごとの全体像はドイツビールって何だろう?にまとめています。行く前に眼を通しておくと、会場の黒板が急に読めるようになって面白いですよ。 🍻 1杯目は、明るいラガーで会場の実力を測る 最初の1杯は、ヘレスかフェストビアをおすすめします。理由は2つあって、1つは9月の夕方にいちばん心地よいから。もう1つは、その会場のビールの状態がいちばん正直に出るからです。 明るいラガーは、香りで飾るところがありません。麦芽の甘み、ホップのかすかな苦み、炭酸のきれ。この3つだけで立っているビールなので、樽の鮮度や注ぎ方の丁寧さが、そのまま味に出ます。1杯目にこれを飲むと、その日の会場との付き合い方が決まります。 🍻 ヘレス──南ドイツの日常のビール ヘレス(Helles)はドイツ語の「明るい」から来た名前で、ミュンヘンを中心とする南ドイツでいちばん飲まれているビールです。 淡い金色。香りは穂の香りのように控えめで、口に含むと麦芽のやわらかい甘みが広がり、すっと引いていく。苦みは輪郭を作る程度にしか使いません。度数はおおむね5%前後。 「特徴がない」と言われることがありますが、逆です。濃い味で隠すことができないから、いちばん難しいビールなんです。だから醸造所の実力がよく分かる。ヘレスそのものの話は南ドイツのビールの王様「ヘレス」完全ガイドで詳しくお話ししています。 🍻 フェストビア──見た目は似ていて、中身は強い もし「フェストビア(Festbier)」と書かれていたら、それはお祭りのためのビールです。 見た目はヘレスと同じような明るい金色。飲み口も軽やかです。ところが麦芽の量が多く仕込まれていて、度数は5.8〜6.2%あたりまで上がっています。ヘレスより1杯あたり1割か2割、強い。...

オクトーバーフェストの楽しみ方が変わる、ビールの選び方──迷ったら「スタイル」で選ぶ

オクトーバーフェストの楽しみ方が変わる、ビールの選び方──迷ったら「スタイル」で選ぶ 秋になると、日本でも各地に長いテーブルが並びはじめます。 オクトーバーフェスト。ドイツから届いた樽生ビールを、外の風に当たりながら飲める、1年でいちばん贅沢な時期です。9月から10月にかけて、各地の会場が順番に開いていきます。 そこで、ひとつだけお伝えしたいことがあります。何をどの順番で飲むかで、同じ会場、同じ時間の心地よさがけっこう変わります。 選び方を少し知っておくだけで、その日の1杯がぐっと美味しくなるんです。 おすすめは、「スタイル」で選ぶこと。ドイツビールを毎日扱っている私たちから、その組み立て方をお話しさせてください。 💡 迷ったら、スタイルで選ぶのがおすすめ カウンターの前に立つと、名前がずらりと並んでいて、つい「とりあえず生で」と言いたくなりますよね。 好きな醸造所を見つけて名前で選ぶのは、ビールのいちばん楽しい部分だと思います。ただ、会場に並ぶのはドイツ各地の醸造所のビールで、ドイツでは何百年も続く地元の定番でも、日本ではまだ名前が広く知られていないものも多いんです。まだなじみがないうちは、名前から味を思い浮かべるのが難しい。私たちも、初めて見るドイツの醸造所名だとそうです。 そういうときは、スタイル名を探してみてください。 ヘレス。フェストビア。ヴァイツェン。デュンケル。ボック。この単語のどれかが、たいてい商品名の近くに書かれています。ドイツビールは、このスタイルの名前が味の設計図そのものなんです。名前を知らない醸造所のビールでも、スタイルが分かれば味の見当がつきます。 これがドイツビールのいちばん便利なところだと思います。 💡「色」「香り」「重さ」の3つだけ覚えれば足りる スタイルは何十種類もありますが、会場で必要な区別は3つで足ります。色が明るいか暗いか。香りが控えめか華やかか。飲み口が軽いか重いか。 たとえばヘレスは、明るくて、香りは控えめで、軽い。ボックは、暗くて、香りが濃く、重い。この座標のどこにいるかが分かれば、選択を間違えません。 スタイルごとの全体像はドイツビールって何だろう?にまとめています。行く前に眼を通しておくと、会場の黒板が急に読めるようになって面白いですよ。 🍻 1杯目は、明るいラガーで会場の実力を測る 最初の1杯は、ヘレスかフェストビアをおすすめします。理由は2つあって、1つは9月の夕方にいちばん心地よいから。もう1つは、その会場のビールの状態がいちばん正直に出るからです。 明るいラガーは、香りで飾るところがありません。麦芽の甘み、ホップのかすかな苦み、炭酸のきれ。この3つだけで立っているビールなので、樽の鮮度や注ぎ方の丁寧さが、そのまま味に出ます。1杯目にこれを飲むと、その日の会場との付き合い方が決まります。 🍻 ヘレス──南ドイツの日常のビール ヘレス(Helles)はドイツ語の「明るい」から来た名前で、ミュンヘンを中心とする南ドイツでいちばん飲まれているビールです。 淡い金色。香りは穂の香りのように控えめで、口に含むと麦芽のやわらかい甘みが広がり、すっと引いていく。苦みは輪郭を作る程度にしか使いません。度数はおおむね5%前後。 「特徴がない」と言われることがありますが、逆です。濃い味で隠すことができないから、いちばん難しいビールなんです。だから醸造所の実力がよく分かる。ヘレスそのものの話は南ドイツのビールの王様「ヘレス」完全ガイドで詳しくお話ししています。 🍻 フェストビア──見た目は似ていて、中身は強い もし「フェストビア(Festbier)」と書かれていたら、それはお祭りのためのビールです。 見た目はヘレスと同じような明るい金色。飲み口も軽やかです。ところが麦芽の量が多く仕込まれていて、度数は5.8〜6.2%あたりまで上がっています。ヘレスより1杯あたり1割か2割、強い。...

本場を訪れたシュマッツが選ぶ、家でオクトーバーフェストを再現するビールと楽しみ方【2026年版】

本場を訪れたシュマッツが選ぶ、家でオクトーバーフェストを再現するビールと楽しみ方【2026年版】

本場を訪れたシュマッツが選ぶ、家でオクトーバーフェストを再現するビールと楽しみ方【2026年版】 シリーズもいよいよ最終回。「本場の楽しみ方」を、おうちへ 長らくお付き合いいただいた、シュマッツのオクトーバーフェストシリーズ。いよいよ最終回です。 私たちシュマッツは、本場ミュンヘンのオクトーバーフェストに実際に足を運び、本場の雰囲気を感じてきました。テレージエンヴィーゼの途方もない熱気、木樽から注がれる別格の一杯、湯気を立てるソーセージ……。そして横浜赤レンガでは、ドイツの有機ビール醸造所リーデンブルガーの個性ゆたかなビールにも出会えます。 そんな体験を重ねるうちに、ふと思うんです。「この楽しさ、家でも味わえたら最高なのに」と。 実は、できるんです。今日は、本場を知る私たちが選ぶ「おうちでオクトーバーフェストを再現する方法」を、ビール・グラス・料理の3つのカギに分けてご紹介します。2026年の秋は、自宅の食卓をビアテントに変えてみませんか? ひらめき家でオクトーバーフェストを再現する、3つのカギ 大げさな準備は要りません。ポイントはたった3つ。**「ビール」「グラス」「料理」**です。 この3つさえ押さえれば、いつものリビングが、ぐっと本場の空気に近づきます。順番に見ていきましょう。 🗝️ ① ビール選び:本場の“あの味”を、家でも 主役はやっぱりビール。どれを選ぶかで、再現度は大きく変わります。 本場の醸造所と組んだ、秋冬限定の4本 横浜赤レンガで出会えるリーデンブルガー。その本場の実力を、家でもじっくり味わう方法があります。 私たちシュマッツが、あのリーデンブルガー醸造所とタッグを組んでお届けする、秋冬限定の4本です。バイエルンで醸した本物を、シュマッツが選び抜いてラベルを巻いた“ダブルブランド”の特別なビール。「今日はドイツを旅しよう♪」を合言葉に、おうちで小さなドイツ旅行を楽しめます。 軽やかに楽しみたいなら、柑橘と青草が香る無濾過のケラーピルス(4.7%)や、レモンと白桃が弾ける低アルのセッションIPA(3.8%)。しっかり飲みたい日は、古代小麦エンマーのふくよかさに、トロピカルなホップが躍るババリアンIPA(6.5%)。そして特別な夜には、同じく古代小麦エンマーを使い、チョコやコーヒーを思わせる香りで「Porter of the Year」(Meininger 2021)に輝いた漆黒のポーター(6.9%)。どれもバイエルンの有機・無濾過です。これらは私たちシュマッツのオンラインショップや店舗のメニューでご用意しています。 シュマッツのビールで、“フェスト気分”を盛り上げる🍻 もちろん、私たちシュマッツ自慢のビールも、オクトーバーフェストにぴったりです。 🗝️② グラスと注ぎ方で、味は変わる 「ビールなんて、どのグラスでも同じでしょ?」──いえいえ、これが意外と違うんです。 ビールは、グラスの形で香りの立ち方も、泡のもち方も変わります。本場のジョッキ気分を出したいなら、大ぶりのグラスを。白ビールなら背の高いヴァイツェングラスを選ぶと、雰囲気がぐっと高まります。 そして注ぎ方も大事。少し高い位置から勢いよく注いで、こんもりとした泡のフタをつくる。この泡が、ビールの酸化を防いで、最後の一口まで美味しく保ってくれるんです。本場流の楽しみ方は本場ドイツのビールの楽しみ方のコラムでも紹介しています。 お祭りの主役といえば、琥珀色で飲み応えのあるラガー(メルツェン)。本場ミュンヘンで今まさに飲まれている黄金色の味わいに近いのは、軽やかなヘレスです。「琥珀色の飲み応え」と「黄金色の軽やかさ」、両方そろえて飲み比べれば、それだけでちょっとしたお祭りですよ。ラインナップはビール一覧からどうぞ。 🗝️③...

本場を訪れたシュマッツが選ぶ、家でオクトーバーフェストを再現するビールと楽しみ方【2026年版】

本場を訪れたシュマッツが選ぶ、家でオクトーバーフェストを再現するビールと楽しみ方【2026年版】 シリーズもいよいよ最終回。「本場の楽しみ方」を、おうちへ 長らくお付き合いいただいた、シュマッツのオクトーバーフェストシリーズ。いよいよ最終回です。 私たちシュマッツは、本場ミュンヘンのオクトーバーフェストに実際に足を運び、本場の雰囲気を感じてきました。テレージエンヴィーゼの途方もない熱気、木樽から注がれる別格の一杯、湯気を立てるソーセージ……。そして横浜赤レンガでは、ドイツの有機ビール醸造所リーデンブルガーの個性ゆたかなビールにも出会えます。 そんな体験を重ねるうちに、ふと思うんです。「この楽しさ、家でも味わえたら最高なのに」と。 実は、できるんです。今日は、本場を知る私たちが選ぶ「おうちでオクトーバーフェストを再現する方法」を、ビール・グラス・料理の3つのカギに分けてご紹介します。2026年の秋は、自宅の食卓をビアテントに変えてみませんか? ひらめき家でオクトーバーフェストを再現する、3つのカギ 大げさな準備は要りません。ポイントはたった3つ。**「ビール」「グラス」「料理」**です。 この3つさえ押さえれば、いつものリビングが、ぐっと本場の空気に近づきます。順番に見ていきましょう。 🗝️ ① ビール選び:本場の“あの味”を、家でも 主役はやっぱりビール。どれを選ぶかで、再現度は大きく変わります。 本場の醸造所と組んだ、秋冬限定の4本 横浜赤レンガで出会えるリーデンブルガー。その本場の実力を、家でもじっくり味わう方法があります。 私たちシュマッツが、あのリーデンブルガー醸造所とタッグを組んでお届けする、秋冬限定の4本です。バイエルンで醸した本物を、シュマッツが選び抜いてラベルを巻いた“ダブルブランド”の特別なビール。「今日はドイツを旅しよう♪」を合言葉に、おうちで小さなドイツ旅行を楽しめます。 軽やかに楽しみたいなら、柑橘と青草が香る無濾過のケラーピルス(4.7%)や、レモンと白桃が弾ける低アルのセッションIPA(3.8%)。しっかり飲みたい日は、古代小麦エンマーのふくよかさに、トロピカルなホップが躍るババリアンIPA(6.5%)。そして特別な夜には、同じく古代小麦エンマーを使い、チョコやコーヒーを思わせる香りで「Porter of the Year」(Meininger 2021)に輝いた漆黒のポーター(6.9%)。どれもバイエルンの有機・無濾過です。これらは私たちシュマッツのオンラインショップや店舗のメニューでご用意しています。 シュマッツのビールで、“フェスト気分”を盛り上げる🍻 もちろん、私たちシュマッツ自慢のビールも、オクトーバーフェストにぴったりです。 🗝️② グラスと注ぎ方で、味は変わる 「ビールなんて、どのグラスでも同じでしょ?」──いえいえ、これが意外と違うんです。 ビールは、グラスの形で香りの立ち方も、泡のもち方も変わります。本場のジョッキ気分を出したいなら、大ぶりのグラスを。白ビールなら背の高いヴァイツェングラスを選ぶと、雰囲気がぐっと高まります。 そして注ぎ方も大事。少し高い位置から勢いよく注いで、こんもりとした泡のフタをつくる。この泡が、ビールの酸化を防いで、最後の一口まで美味しく保ってくれるんです。本場流の楽しみ方は本場ドイツのビールの楽しみ方のコラムでも紹介しています。 お祭りの主役といえば、琥珀色で飲み応えのあるラガー(メルツェン)。本場ミュンヘンで今まさに飲まれている黄金色の味わいに近いのは、軽やかなヘレスです。「琥珀色の飲み応え」と「黄金色の軽やかさ」、両方そろえて飲み比べれば、それだけでちょっとしたお祭りですよ。ラインナップはビール一覧からどうぞ。 🗝️③...

テントに入って最初に驚いたのは、味ではなく音だった──オクトーバーフェストの音楽と《Ein Prosit》

テントに入って最初に驚いたのは、味ではなく音だった──オクトーバーフェストの音楽と《Ein P...

テントに入って最初に驚いたのは、味ではなく音だった──オクトーバーフェストの音楽と《Ein Prosit》 ミュンヘンのテレージエンヴィーゼ(Theresienwiese)。オクトーバーフェストの会場に着いて、私たちシュマッツが最初に面食らったのは、ビールの味ではありませんでした。 音です。 テントの重い扉を開けた瞬間、隣に立っている人の声が聞こえなくなりました。何か言っている、口が動いている、でも届かない。ビールを注文するまでの数分、私たちはただ立ちすくんでいました。 オクトーバーフェストの写真はたくさん出回っています。でも、あの音は写真に写りません。今日はその話を。 ◯ 扉を開けた瞬間、声が届かなくなった テントの外は、思ったよりも静かでした。屋台の呼び込みと観覧車のモーター音があるくらい。 その扉を開けると、世界が切り替わります。壁のように音が来る、という言い方がいちばん近い。耳が痛いというのとは違って、演奏と何千人の話し声が、振動としてそのまま体に届いてくるんです。 「うるさい」ではなく、「濃い」 最初は単純にうるさいのだと思いました。けれど数分立っていると、うるさいという言葉が合っていないことに気づきます。 音が層になっているんです。いちばん下に何千人の話し声が敷いてある。その上に食器とジョッキがぶつかる硬い音。さらに上に、金管の旋律が乗っている。この3層が同時に鳴っていて、どれかを聞こうとすると他が消える。 大テントは、屋内と屋外をあわせて8,000席から9,000席という規模のものがあります。その人数の会話が同時進行している空間に、生演奏が加わる。音が濃くなるのも当然だと、あとから納得しました。   ◯ 音の出どころは、天井ではなく中央だった 大きな会場に入ると、私たちはつい天井のスピーカーを探してしまいます。 ところがここでは、音は上から降ってきません。フロアの中央から来ます。長いテーブルの海のちょうど真ん中に演奏台が据えられていて、そこに生のバンドが立っているんです。 舞台と客席が、分かれていない これがオクトーバーフェストの音の設計だと思いました。 演奏者はお客さんに360度囲まれていて、テーブルはその周りに放射状に広がっている。前を向いて座る客席がなくて、音の中心に、飲んでいる人たちがいる。 だから「ステージを見る」という姿勢になりません。演奏はどこか一方から届くものではなく、自分がいる場所そのものが鳴っている。この構造が、あとで書く「参加している感じ」の正体だったと思います。   ◯ 演奏台にいたのは、ロックバンドのような人たちだった オクトーバーフェストの音楽といえば、管楽器の楽団を思い浮かべる方が多いと思います。ブラスカペレ(Blaskapelle)。ドイツ語の Blas は「吹く」、Kapelle は「楽団」で、バイエルンの村祭りやビアガーデンでずっと鳴ってきた編成です。...

テントに入って最初に驚いたのは、味ではなく音だった──オクトーバーフェストの音楽と《Ein P...

テントに入って最初に驚いたのは、味ではなく音だった──オクトーバーフェストの音楽と《Ein Prosit》 ミュンヘンのテレージエンヴィーゼ(Theresienwiese)。オクトーバーフェストの会場に着いて、私たちシュマッツが最初に面食らったのは、ビールの味ではありませんでした。 音です。 テントの重い扉を開けた瞬間、隣に立っている人の声が聞こえなくなりました。何か言っている、口が動いている、でも届かない。ビールを注文するまでの数分、私たちはただ立ちすくんでいました。 オクトーバーフェストの写真はたくさん出回っています。でも、あの音は写真に写りません。今日はその話を。 ◯ 扉を開けた瞬間、声が届かなくなった テントの外は、思ったよりも静かでした。屋台の呼び込みと観覧車のモーター音があるくらい。 その扉を開けると、世界が切り替わります。壁のように音が来る、という言い方がいちばん近い。耳が痛いというのとは違って、演奏と何千人の話し声が、振動としてそのまま体に届いてくるんです。 「うるさい」ではなく、「濃い」 最初は単純にうるさいのだと思いました。けれど数分立っていると、うるさいという言葉が合っていないことに気づきます。 音が層になっているんです。いちばん下に何千人の話し声が敷いてある。その上に食器とジョッキがぶつかる硬い音。さらに上に、金管の旋律が乗っている。この3層が同時に鳴っていて、どれかを聞こうとすると他が消える。 大テントは、屋内と屋外をあわせて8,000席から9,000席という規模のものがあります。その人数の会話が同時進行している空間に、生演奏が加わる。音が濃くなるのも当然だと、あとから納得しました。   ◯ 音の出どころは、天井ではなく中央だった 大きな会場に入ると、私たちはつい天井のスピーカーを探してしまいます。 ところがここでは、音は上から降ってきません。フロアの中央から来ます。長いテーブルの海のちょうど真ん中に演奏台が据えられていて、そこに生のバンドが立っているんです。 舞台と客席が、分かれていない これがオクトーバーフェストの音の設計だと思いました。 演奏者はお客さんに360度囲まれていて、テーブルはその周りに放射状に広がっている。前を向いて座る客席がなくて、音の中心に、飲んでいる人たちがいる。 だから「ステージを見る」という姿勢になりません。演奏はどこか一方から届くものではなく、自分がいる場所そのものが鳴っている。この構造が、あとで書く「参加している感じ」の正体だったと思います。   ◯ 演奏台にいたのは、ロックバンドのような人たちだった オクトーバーフェストの音楽といえば、管楽器の楽団を思い浮かべる方が多いと思います。ブラスカペレ(Blaskapelle)。ドイツ語の Blas は「吹く」、Kapelle は「楽団」で、バイエルンの村祭りやビアガーデンでずっと鳴ってきた編成です。...

横浜赤レンガのオクトーバーフェストで出会える「Riedenburger」──知る人ぞ知る、ドイツ有機ビール醸造所の物語

横浜赤レンガのオクトーバーフェストで出会える「Riedenburger」──知る人ぞ知る、ドイ...

横浜赤レンガのオクトーバーフェストで出会える「Riedenburger」──知る人ぞ知る、ドイツ有機ビール醸造所の物語 今年も9月、横浜赤レンガに「本場の秋」がやってくる🍻🍂 潮風の気持ちいい横浜・みなとみらい。あの赤レンガ倉庫の前に、今年もずらりとビアテントが並ぶ季節がやってきます。 ヨコハマ オクトーバーフェスト 2026。会期は9月18日(金)から10月4日(日)までの17日間です。ドイツの楽団による生演奏、巨大なジョッキ、ソーセージの香り……このイベントだけで「ちょっとミュンヘンに来た気分」が味わえてしまうんですよね。 ちなみに、日本で大規模なオクトーバーフェストを初めて開いたのが、実はこの横浜赤レンガなんです。2003年、たった5日間の開催に20万人が詰めかけたのが始まり。以来20年以上にわたって「本場の雰囲気」にこだわり続けてきた、いわば日本のオクトーバーフェストの“元祖”です。 そんな横浜の会場で、今年ぜひ探してほしいビールがあります。それが、ドイツでも知る人ぞ知る有機ビールの醸造所、**リーデンブルガー(Riedenburger)**です。 ◯ 会場でぜひ探してほしい「リーデンブルガー(Riedenburger)」 オクトーバーフェストでビールを出せるのは、本場ミュンヘンでは6つの大醸造所だけ。でも、横浜のように世界中のビールが集まる場では、もっと幅広い、個性的な造り手のビールに出会えるのが楽しいところです。 その中でもリーデンブルガーは、ちょっと特別な存在。なぜなら、**つくっているビールがすべて「オーガニック(有機)」**だからです。 「オーガニックビール」って、実はすごいことなんです! 野菜や卵に「有機」があるのは知っていても、「有機ビール」と聞くとピンとこない方も多いかもしれません。 有機ビールとは、ざっくり言えば、化学合成の農薬や肥料に頼らずに育てた大麦・ホップだけでつくったビールのこと。畑の段階から認証を受け、醸造の工程まで一貫して基準を守らないと名乗れません。手間もコストもかかるので、世界を見渡してもまだまだ少数派です。 その「茨の道」を、リーデンブルガーは30年以上前から本気で歩んできました。ドイツビールの奥深さを語るうえで、これは外せない物語なんです。   ◯ 創業1756年。8代続く、小さな町の醸造所 リーデンブルガーがあるのは、バイエルン州のアルトミュール谷にある、リーデンブルクという小さな町。豊かな自然に囲まれた、のどかな田舎です。 創業はなんと1756年。江戸時代のまんなか、日本ではまだちょんまげを結っていた頃から、この一族はビールを造り続けてきました。経営はずっとクリーガー家が受け継ぎ、現在は8代目。気の遠くなるような時間、同じ町で、同じ家族が、ひたすら美味しいビールを追いかけてきたわけです。 年間の生産量は約3万ヘクトリットル。世界のビール大手と比べれば、本当に小さな醸造所です。それでも、その実力はドイツ国内にとどまらず、今では世界17か国へと輸出されています。「小さいけれど、本物」。この感じ、私たちシュマッツが大切にしているドイツビールの魅力そのものなんですよね。   ◯ なぜ「有機ビールの先駆け」と呼ばれるのか リーデンブルガーが特別なのは、古いからだけではありません。ドイツの有機ビールの草分けとして、業界の先頭を走ってきた歴史があるからです。 まだ誰もやっていなかった「全部、有機」への挑戦 時は1990年代のはじめ。当時、ビールを「有機で」なんて発想は、ドイツでもごくわずかな人しか口にしていませんでした。 そんな中、リーデンブルガーは1992年に初の有機認証(Bioland)ビールを世に出し、1994年には全製品を有機の造り方へ完全に切り替えます。包括的な環境コンセプトを掲げてここまで踏み込んだのは、バイエルン州ではこの醸造所が最初だったと言われています。 今でこそ「サステナブル」「オーガニック」は当たり前の言葉ですが、30年以上も前にここまで舵を切ったというのは、本当に先見の明があったとしか言いようがありません。...

横浜赤レンガのオクトーバーフェストで出会える「Riedenburger」──知る人ぞ知る、ドイ...

横浜赤レンガのオクトーバーフェストで出会える「Riedenburger」──知る人ぞ知る、ドイツ有機ビール醸造所の物語 今年も9月、横浜赤レンガに「本場の秋」がやってくる🍻🍂 潮風の気持ちいい横浜・みなとみらい。あの赤レンガ倉庫の前に、今年もずらりとビアテントが並ぶ季節がやってきます。 ヨコハマ オクトーバーフェスト 2026。会期は9月18日(金)から10月4日(日)までの17日間です。ドイツの楽団による生演奏、巨大なジョッキ、ソーセージの香り……このイベントだけで「ちょっとミュンヘンに来た気分」が味わえてしまうんですよね。 ちなみに、日本で大規模なオクトーバーフェストを初めて開いたのが、実はこの横浜赤レンガなんです。2003年、たった5日間の開催に20万人が詰めかけたのが始まり。以来20年以上にわたって「本場の雰囲気」にこだわり続けてきた、いわば日本のオクトーバーフェストの“元祖”です。 そんな横浜の会場で、今年ぜひ探してほしいビールがあります。それが、ドイツでも知る人ぞ知る有機ビールの醸造所、**リーデンブルガー(Riedenburger)**です。 ◯ 会場でぜひ探してほしい「リーデンブルガー(Riedenburger)」 オクトーバーフェストでビールを出せるのは、本場ミュンヘンでは6つの大醸造所だけ。でも、横浜のように世界中のビールが集まる場では、もっと幅広い、個性的な造り手のビールに出会えるのが楽しいところです。 その中でもリーデンブルガーは、ちょっと特別な存在。なぜなら、**つくっているビールがすべて「オーガニック(有機)」**だからです。 「オーガニックビール」って、実はすごいことなんです! 野菜や卵に「有機」があるのは知っていても、「有機ビール」と聞くとピンとこない方も多いかもしれません。 有機ビールとは、ざっくり言えば、化学合成の農薬や肥料に頼らずに育てた大麦・ホップだけでつくったビールのこと。畑の段階から認証を受け、醸造の工程まで一貫して基準を守らないと名乗れません。手間もコストもかかるので、世界を見渡してもまだまだ少数派です。 その「茨の道」を、リーデンブルガーは30年以上前から本気で歩んできました。ドイツビールの奥深さを語るうえで、これは外せない物語なんです。   ◯ 創業1756年。8代続く、小さな町の醸造所 リーデンブルガーがあるのは、バイエルン州のアルトミュール谷にある、リーデンブルクという小さな町。豊かな自然に囲まれた、のどかな田舎です。 創業はなんと1756年。江戸時代のまんなか、日本ではまだちょんまげを結っていた頃から、この一族はビールを造り続けてきました。経営はずっとクリーガー家が受け継ぎ、現在は8代目。気の遠くなるような時間、同じ町で、同じ家族が、ひたすら美味しいビールを追いかけてきたわけです。 年間の生産量は約3万ヘクトリットル。世界のビール大手と比べれば、本当に小さな醸造所です。それでも、その実力はドイツ国内にとどまらず、今では世界17か国へと輸出されています。「小さいけれど、本物」。この感じ、私たちシュマッツが大切にしているドイツビールの魅力そのものなんですよね。   ◯ なぜ「有機ビールの先駆け」と呼ばれるのか リーデンブルガーが特別なのは、古いからだけではありません。ドイツの有機ビールの草分けとして、業界の先頭を走ってきた歴史があるからです。 まだ誰もやっていなかった「全部、有機」への挑戦 時は1990年代のはじめ。当時、ビールを「有機で」なんて発想は、ドイツでもごくわずかな人しか口にしていませんでした。 そんな中、リーデンブルガーは1992年に初の有機認証(Bioland)ビールを世に出し、1994年には全製品を有機の造り方へ完全に切り替えます。包括的な環境コンセプトを掲げてここまで踏み込んだのは、バイエルン州ではこの醸造所が最初だったと言われています。 今でこそ「サステナブル」「オーガニック」は当たり前の言葉ですが、30年以上も前にここまで舵を切ったというのは、本当に先見の明があったとしか言いようがありません。...

オクトーバーフェストのビールは何色?──「メルツェンだと思っていた」私たちが現地で知った、黄金色になったワケとメルツェンの底力

オクトーバーフェストのビールは何色?──「メルツェンだと思っていた」私たちが現地で知った、黄金...

オクトーバーフェストのビールは何色?──「メルツェンだと思っていた」私たちが現地で知った、黄金色になったワケとメルツェンの底力 ◯ ミュンヘンに行くまで、私たちも「メルツェンだ」と思い込んでいました 正直に告白します。私も、2025年9月に本場ミュンヘンを訪れるまで、「オクトーバーフェストのビール=あの琥珀色のメルツェン」だと思い込んでいました。 ところが、現地で実際に注がれていたのは、琥珀色ではなく、澄んだ淡い黄金色のビール。「あれ、メルツェンじゃないの?」というのが、正直な第一印象だったんです。 実はこの“勘違い”の裏には、オクトーバーフェスト200年あまりの歴史が隠れています。今日はその謎を、現地で飲んで(しかも飲みきれずに)実感したことと一緒に、ゆるりとお話しします。   ◯ テントを回って気づいた「同じ黄金色でも、全然違う」 会場でいくつかのテントを回ってみて、おもしろい発見がありました。同じ黄金色のフェストビールなのに、造り手が変わると、驚くほど飲み心地が違うんです。とくに印象に残ったのは、好対照だった2杯でした。   《アウグスティーナーの木樽が、別格だった》 ひとつは、アウグスティーナーのフェストビア。これが、もう、おいしすぎました。 澄んだ黄金色で、ひと口飲むと麦の旨味がじわっと広がるのに、驚くほど軽やか。すいすい盃が進みます。実はアウグスティーナーは、会場の6醸造所のなかで唯一、今も木樽から手間ひまかけてビールを注ぐ醸造所。地元ミュンヘンっ子からも「ヴィーズン(オクトーバーフェストの愛称)でいちばん旨い」としばしば評される一本です。その造りの良さが、あの“軽いのに旨い”に表れているんですね。日本ではあまり知られていませんが、現地での評価はちょっと特別。この木樽のフェストビアの話は訪問記の回で、アウグスティーナーの醸造のこだわりはこちらの回で、それぞれたっぷり語っています。   《パウラーナーの1リットルは、飲みきれなかった》 もうひとつは、パウラーナーのフェストビア。こちらは正直に告白すると——1リットルを最後まで飲みきれませんでした(笑)。 オクトーバーフェストのビールは「マス」と呼ばれる1リットルの巨大ジョッキで提供され、ハーフサイズはほぼありません。なみなみ注ぐと重さは約2.3kgにもなります。すでに何杯か重ねた体に、これはなかなか効きました。しかも直前に飲んだアウグスティーナーがおいしすぎた、というのもあったかもしれません(笑)。同じ黄金色のフェストビールでも、ここまで表情が変わるのか、と実感した一日でした。 ちなみに、このマス1杯のお値段は2024年でおよそ15ユーロ(約2,400円)。しかも会場では水も負けないくらい高い、というから驚きです。それでも2024年には約670万人が来場し、合わせて約700万杯ものマスが空けられたというのだから、本場のスケールはやっぱり桁違いですね。 ◯ そもそも「フェストビール」って、何者? ここで、現地で飲んだあの黄金色のビールの正体を、はっきりさせておきましょう。 オクトーバーフェストで出されるのは、その時期・その場所でしか飲めない特別な「フェストビール(フェストビア)」。ざっくり言うと、ヘレスを、もう少しコク深く・度数高めにしたようなビールです。澄んだ黄金色で、口当たりはすっきり軽やか。なのに度数は約6%と、ふだんのドイツビール(5%前後)より一段高いんです(いちばん強いホフブロイは6.3%もあります)。色はあくまで澄んだ金色で、赤みを帯びた琥珀色のメルツェンとは、ここがはっきり違います。   🍻ヘレスみたいな顔をして、しっかり強い この「軽いのに強い」が、なかなかの曲者でして。 麦の旨味たっぷりで口当たりがいいものだから、ドイツでは「液体のパン」なんて呼ばれるほど。するする飲めてしまう。でも中身は1リットル × 約6%。軽い気持ちで飲み進めると、じわじわ効いてくるんです。隣のドイツの人たちが涼しい顔で何杯もおかわりしていくのを横目に、私はギブアップ。本場の洗礼を、しっかり受けてきました。 ◯...

オクトーバーフェストのビールは何色?──「メルツェンだと思っていた」私たちが現地で知った、黄金...

オクトーバーフェストのビールは何色?──「メルツェンだと思っていた」私たちが現地で知った、黄金色になったワケとメルツェンの底力 ◯ ミュンヘンに行くまで、私たちも「メルツェンだ」と思い込んでいました 正直に告白します。私も、2025年9月に本場ミュンヘンを訪れるまで、「オクトーバーフェストのビール=あの琥珀色のメルツェン」だと思い込んでいました。 ところが、現地で実際に注がれていたのは、琥珀色ではなく、澄んだ淡い黄金色のビール。「あれ、メルツェンじゃないの?」というのが、正直な第一印象だったんです。 実はこの“勘違い”の裏には、オクトーバーフェスト200年あまりの歴史が隠れています。今日はその謎を、現地で飲んで(しかも飲みきれずに)実感したことと一緒に、ゆるりとお話しします。   ◯ テントを回って気づいた「同じ黄金色でも、全然違う」 会場でいくつかのテントを回ってみて、おもしろい発見がありました。同じ黄金色のフェストビールなのに、造り手が変わると、驚くほど飲み心地が違うんです。とくに印象に残ったのは、好対照だった2杯でした。   《アウグスティーナーの木樽が、別格だった》 ひとつは、アウグスティーナーのフェストビア。これが、もう、おいしすぎました。 澄んだ黄金色で、ひと口飲むと麦の旨味がじわっと広がるのに、驚くほど軽やか。すいすい盃が進みます。実はアウグスティーナーは、会場の6醸造所のなかで唯一、今も木樽から手間ひまかけてビールを注ぐ醸造所。地元ミュンヘンっ子からも「ヴィーズン(オクトーバーフェストの愛称)でいちばん旨い」としばしば評される一本です。その造りの良さが、あの“軽いのに旨い”に表れているんですね。日本ではあまり知られていませんが、現地での評価はちょっと特別。この木樽のフェストビアの話は訪問記の回で、アウグスティーナーの醸造のこだわりはこちらの回で、それぞれたっぷり語っています。   《パウラーナーの1リットルは、飲みきれなかった》 もうひとつは、パウラーナーのフェストビア。こちらは正直に告白すると——1リットルを最後まで飲みきれませんでした(笑)。 オクトーバーフェストのビールは「マス」と呼ばれる1リットルの巨大ジョッキで提供され、ハーフサイズはほぼありません。なみなみ注ぐと重さは約2.3kgにもなります。すでに何杯か重ねた体に、これはなかなか効きました。しかも直前に飲んだアウグスティーナーがおいしすぎた、というのもあったかもしれません(笑)。同じ黄金色のフェストビールでも、ここまで表情が変わるのか、と実感した一日でした。 ちなみに、このマス1杯のお値段は2024年でおよそ15ユーロ(約2,400円)。しかも会場では水も負けないくらい高い、というから驚きです。それでも2024年には約670万人が来場し、合わせて約700万杯ものマスが空けられたというのだから、本場のスケールはやっぱり桁違いですね。 ◯ そもそも「フェストビール」って、何者? ここで、現地で飲んだあの黄金色のビールの正体を、はっきりさせておきましょう。 オクトーバーフェストで出されるのは、その時期・その場所でしか飲めない特別な「フェストビール(フェストビア)」。ざっくり言うと、ヘレスを、もう少しコク深く・度数高めにしたようなビールです。澄んだ黄金色で、口当たりはすっきり軽やか。なのに度数は約6%と、ふだんのドイツビール(5%前後)より一段高いんです(いちばん強いホフブロイは6.3%もあります)。色はあくまで澄んだ金色で、赤みを帯びた琥珀色のメルツェンとは、ここがはっきり違います。   🍻ヘレスみたいな顔をして、しっかり強い この「軽いのに強い」が、なかなかの曲者でして。 麦の旨味たっぷりで口当たりがいいものだから、ドイツでは「液体のパン」なんて呼ばれるほど。するする飲めてしまう。でも中身は1リットル × 約6%。軽い気持ちで飲み進めると、じわじわ効いてくるんです。隣のドイツの人たちが涼しい顔で何杯もおかわりしていくのを横目に、私はギブアップ。本場の洗礼を、しっかり受けてきました。 ◯...

blog