2026年の秋、シュマッツのレストランで、「ケルシュスタイル」のビールを期間限定で提供しています(なくなり次第終了です)。しかも、シュマッツ アトレ上野では、本場ケルンと同じように、細長い小さな「シュタンゲ」グラスで飲めるんです! そこで今回は、ケルシュという、ちょっと不思議なビールのお話です!
ドイツには、「グラスが空く前に、次の1杯が来ちゃう」ビール文化があるって知っていますか?
舞台は、ドイツ西部の町ケルン。飲み終わるそばから、新しいグラスがどんどん運ばれてくる……
まるで日本の「わんこそば」みたいなんです! この記事では、その主役の、ケルン生まれのビール
「ケルシュ」と、飲むときの細長い小さなグラス、おかわりを運んでくれる給仕さんのことまで、ドイツ大好きな私たちが、分かりやすくご紹介しますね! 上野店のくわしい案内は、記事の最後にあります!
💡 ケルシュとは?ケルンで生まれた、すっきり軽やかなビール
ケルシュは、ドイツのケルンで生まれたビールです。色は淡い金色で、苦みはひかえめ。すっきり軽やかで、アルコール度数は4.5〜5%前後のものが多いです。日本のビールが好きな人にも、飲みやすいと思います。
味わいは、ピルスナー麦芽とドイツのホップを使った、爽やかでほんのりフルーティー。ピルスナーより苦みは少なめで、口当たりがやわらかいと言われています。「ケルシュ」という名前は、ドイツ語で「ケルンの」という意味。その名前がビールの名前として正式に使われはじめたのは、1918年のことだと言われています。
ちょっと変わっているのは、造り方です。ビールは、大きく「上面発酵」と「下面発酵」に分かれます。日本の大手メーカーのビールは、下面発酵の「ラガー」。ケルシュは、温かめの温度で発酵させる上面発酵なのに、そのあと低い温度でじっくり熟成させます。つまり、エールとラガーの「いいとこどり」なんです!
ちなみに、「上面」と「下面」の名前の由来は、酵母の動きです。発酵のとき、酵母がビールの上のほうに浮いてくるのが上面発酵、底のほうに沈むのが下面発酵。ケルシュは上面発酵、日本のピルスナーは下面発酵です。同じビールでも、酵母の働き方がちがうと、味わいも変わってくるんですね。
そして、ケルシュは「名乗るためのルール」がとても厳しいことでも有名です。1986年に、ケルンのブルワリー(ビールの醸造所)どうしが「ケルシュ協定」を結びました。淡い色で、上面発酵で、ホップがきいていて、濾過してあって、ビール純粋令に沿って造る。そして、ケルンとその周辺で造ること。EUでも、「ケルシュ」はその地域のビールとして守られています。ケルシュと名乗れるのは、基本的にケルンのビールだけ。シャンパンみたいですよね! ケルシュは、いわば「ビールのシャンパン」なんです!
では、ケルン以外で造られたビールは? その場合は、「ケルシュ」とは名乗らずに、「ケルシュスタイル」と呼びます。ケルシュのように、淡い金色で、すっきり軽やかに仕上げたビール、という意味です。今回、シュマッツのレストランで提供している、東京のブルワリー、クラフトロックのビールも、この「ケルシュスタイル」のビールです。本場ケルンのケルシュとは別のビールですが、クリアで軽やかなボディと、ほんのりフルーティーな香りが特徴です。
💡 シュタンゲって?細長い200mlのグラスに理由があった
ケルシュは、「シュタンゲ」という、細くて背の高い小さなグラスで飲みます。容量は約200ml。
350mlの缶ビールの、半分ちょっとの量です。シュタンゲは、ドイツ語で「棒」という意味です。名前のとおり、棒みたいにすっとした円柱の形をしています。ケルンのビアホールでは、ケルシュといえばシュタンゲ。この2つがセットで出てくるのが基本なんです。
どうして、こんなに小さいの? 理由は、ケルシュは炭酸が少なめで、泡があまり長持ちしないからです。大きなグラスだと、飲んでいるあいだに、ぬるくなったり、気が抜けたりしやすいんです。
だから、小さなグラスで、フレッシュなうちに飲み切る。細い形は、ビールのきれいな透明感と、小さな泡を見せてくれる、とも言われています。
前回のコラムでも、ドイツでは水のようにごくごくビールを飲む人が多い、というお話をしました。
ケルシュのシュタンゲは、まさにその飲み方にぴったりのグラスです。ごくごく飲んで、すぐ次の1杯。小さなグラスだから、軽やかなケルシュを、気軽にテンポよく楽しめるんです!
ちなみに、ケルシュを出す温度は、ケラー(地下の貯蔵庫)と同じ、約10℃が伝統だと言われています。キンキンに冷やしすぎないのは、前回のコラムでご紹介した「ドイツのビールはぬるい」というお話にも、つながりますよね!
💡「わんこビール」の正体は、ケーブスとクランツ
そして、ケルシュ最大の名物が、おかわりの文化です。ケルンのビアホールには、「ケーブス」と呼ばれる給仕さんがいます。ケーブスは、「クランツ」(花輪という意味の、輪っかの形をしたトレー)に、シュタンゲを10杯以上のせて、お店のなかを回ります。
ここからが、わんこそばならぬ、わんこビールです! お客さんのグラスが空くと、ケーブスは、何も言わなくても、新しいケルシュをさっと置いていきます。空いたグラスは下げて、飲んだ杯数は、コースターに線を引いて記録。お会計は、その線の数で決まります。
じゃあ、もう飲まないときは? グラスの上に、コースターをのせます。これが「もう大丈夫です」の合図。のせないかぎり、次のグラスが来続ける……わんこそばの、お椀にふたをするのと同じですね!
ひと口サイズの200mlだから、次々飲んでも、いつも新しいビールが飲めます。何杯でも楽しめる、
ちゃんと理由のある仕組みなんです。
ちなみに、ケーブスは、ちょっとぶっきらぼうな接客でも知られている、という話もあります。それも含めて、ケルンのビアホールの名物のひとつ、と言われているんです。おしゃべりをしながら、グラスが空くたびに、新しいケルシュがすっと届く。この心地よさが、ケルンの人たちに愛されてきた、ビアホールの楽しみ方なんですね!
💡わんこビールはできないけれど、シュタンゲグラスでドイツ気分を

「わんこビール、やってみたい!」と思った方、ごめんなさい。シュマッツでは、ケーブスが次々おかわりを運ぶ、わんこビールはできません。でも、冒頭でご紹介したケルシュスタイルのビールを、本場ケルンのように、シュタンゲグラスで飲める店舗が、1つだけあります。
「シュマッツ アトレ上野」です! 細くて小さなグラスで飲むと、見た目もぐっとドイツらしくなりますよ。ケルシュスタイルのビールは、ほかの店舗でも飲めますが、シュタンゲグラスでの提供は、上野店だけなんです。
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【シュタンゲグラスでの提供について(アトレ上野店)】 ・店舗:シュマッツ アトレ上野(シュタンゲグラスでの提供は、上野店のみです)(店舗・アクセス はこちら) ・ビール:クラフトロックのケルシュスタイルのビール(期間限定。ほかの店舗でも提供中) ・グラス・サイズ:シュタンゲグラス、Sサイズ ・提供状況:提供中(2026年10月時点)。なくなり次第終了 ・曜日・時間:曜日や時間の指定はありません ・ご注意:ほかの店舗では、シュタンゲグラスでは提供していません。また、クランツ(わんこビー ル)の提供はありません ※提供状況は変わることがあります。お出かけ前に、店舗にご確認ください。 |
おうちでも、細くて背の高い小さなグラスがあれば、シュタンゲ気分が味わえます。いつものビールを、少なめに注いで、飲み切ってから、また次を注ぐ。これだけでも、いつもより、ちょっとドイツの雰囲気になるんです。冷蔵庫から出して、少し置いてから注ぐのも、前回のコラムでご紹介した、ドイツ流の楽しみ方ですよ!
最後に、今回のお話をまとめます。ケルシュは、ケルン生まれのビール。上面発酵なのに、低い温度で熟成させる、いいとこどりの造り方です。
名乗るためのルールがとても厳しくて、基本的にはケルンのビールだけが、ケルシュと呼ばれます。飲むときは、200mlの細長いシュタンゲ。ケーブスが、空いたグラスにすぐ新しい1杯を運んでくる、日本の「わんこそば」みたいな文化があります。
ドイツのビールって、味だけじゃなくて、飲み方まで、ほんとうにおもしろいんです!
ドイツのビールの基本から知りたい方は、ドイツビールって何だろう?もぜひ。ビアガーデンやオクトーバーフェストなど、本場ドイツのビールの楽しみ方は、こちらの記事でも紹介しています。
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