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オクトーバーフェストの意味とは?「10月の祭り」が9月に始まる本場バイエルンの魅力

オクトーバーフェストの意味とは?「10月の祭り」が9月に始まる本場バイエルンの魅力

オクトーバーフェストの意味とは?「10月の祭り」が9月に始まる本場バイエルンの魅力 「オクトーバーフェスト」って、名前に「10月(オクトーバー)」と入っているのに、いちばん盛り上がるのは9月なんです。実は私たちシュマッツチームも、2025年9月にバイエルンを旅して、その理由を肌で感じてきました。本場の空気とともに、オクトーバーフェストの意味と「お祭りと外飲みの季節」としての魅力をお届けします。 ◯ オクトーバーフェストの意味は、そのまんま「10月の祭り」 「Oktober」+「Fest」を分解すると まずは名前の話から。オクトーバーフェスト(Oktoberfest)は、ドイツ語を分解するとびっくりするほどシンプルです。 「Oktober(オクトーバー)」=10月、「Fest(フェスト)」=お祭り。つまり**オクトーバーフェストの意味は、そのまま「10月のお祭り」**なんですね。 名前は10月、中身は9月というちぐはぐ ところが、ややこしい。現在のメイン会場、ミュンヘンのオクトーバーフェストは、毎年9月の後半に幕を開けます。2025年も開幕は9月20日でした。 名前は「10月」、中身は「9月」。このちぐはぐ、気になりますよね。 ◯ なんで「10月の祭り」なのに9月開催なの? もともとは本当に10月開催だった 理由はあっさりしています。もともとは本当に10月開催だったんです。 でも、ミュンヘンの10月はとにかく寒い。屋外でビールを楽しむには、ちょっと厳しい季節なんですね。 💡 1829年、開幕4日後の吹雪 10月のミュンヘンがいかに冷えるかを物語る逸話として、1829年には開幕からわずか4日後に吹雪に見舞われ、屋台が全部閉まってしまった、という記録も残っているほど。 そんな寒さも背景にありつつ、街の発展や天候の良さといった事情が重なって、開催時期は少しずつ前倒しされていきました。やがて9月開催が定着し、今では9月後半に始まって、最後の数日だけが10月にかかる——という形に落ち着いています。 名前は「10月の祭り」のまま、中身だけ9月に引っ越した。歴史って、こういう「言われてみれば」が面白いですよね。 ◯ そもそもの始まりは、王子さまの結婚式だった 1810年、ルートヴィヒ皇太子とテレーゼ妃の祝宴 ここで少しだけ、ルーツの話を。 時は1810年。バイエルンのルートヴィヒ皇太子(のちのルートヴィヒ1世)と、テレーゼ妃の結婚を祝うお祝いごとが、すべての始まりでした。 このとき、結婚を祝う祝賀行事の幕開けとして10月17日に開かれた競馬が、記念すべき「第1回オクトーバーフェスト」とされています。会場となった広大な草原は、のちにテレーゼ妃にちなんで「テレージエンヴィーゼ(Theresienwiese=テレーゼの草原)」と名付けられました。 💡地元では「オクトーバーフェスト」と呼ばない ちなみに地元の人たちは、この祭りを「オクトーバーフェスト」とはあまり呼びません。会場の名前を縮めて、親しみを込めて「ヴィーズン(Wiesn)」と呼ぶんです。この愛称、なんと2017年にはドイツ語の権威ある辞書「ドゥーデン」にも正式に収録されました。地元っ子の言葉が、お墨付きをもらった瞬間ですね。 歴史の深掘りはこのくらいにして。ここからが、今回いちばんお伝えしたい話です。 《私たちが2025年9月に見た、本場の「お祭りの季節」》...

オクトーバーフェストの意味とは?「10月の祭り」が9月に始まる本場バイエルンの魅力

オクトーバーフェストの意味とは?「10月の祭り」が9月に始まる本場バイエルンの魅力 「オクトーバーフェスト」って、名前に「10月(オクトーバー)」と入っているのに、いちばん盛り上がるのは9月なんです。実は私たちシュマッツチームも、2025年9月にバイエルンを旅して、その理由を肌で感じてきました。本場の空気とともに、オクトーバーフェストの意味と「お祭りと外飲みの季節」としての魅力をお届けします。 ◯ オクトーバーフェストの意味は、そのまんま「10月の祭り」 「Oktober」+「Fest」を分解すると まずは名前の話から。オクトーバーフェスト(Oktoberfest)は、ドイツ語を分解するとびっくりするほどシンプルです。 「Oktober(オクトーバー)」=10月、「Fest(フェスト)」=お祭り。つまり**オクトーバーフェストの意味は、そのまま「10月のお祭り」**なんですね。 名前は10月、中身は9月というちぐはぐ ところが、ややこしい。現在のメイン会場、ミュンヘンのオクトーバーフェストは、毎年9月の後半に幕を開けます。2025年も開幕は9月20日でした。 名前は「10月」、中身は「9月」。このちぐはぐ、気になりますよね。 ◯ なんで「10月の祭り」なのに9月開催なの? もともとは本当に10月開催だった 理由はあっさりしています。もともとは本当に10月開催だったんです。 でも、ミュンヘンの10月はとにかく寒い。屋外でビールを楽しむには、ちょっと厳しい季節なんですね。 💡 1829年、開幕4日後の吹雪 10月のミュンヘンがいかに冷えるかを物語る逸話として、1829年には開幕からわずか4日後に吹雪に見舞われ、屋台が全部閉まってしまった、という記録も残っているほど。 そんな寒さも背景にありつつ、街の発展や天候の良さといった事情が重なって、開催時期は少しずつ前倒しされていきました。やがて9月開催が定着し、今では9月後半に始まって、最後の数日だけが10月にかかる——という形に落ち着いています。 名前は「10月の祭り」のまま、中身だけ9月に引っ越した。歴史って、こういう「言われてみれば」が面白いですよね。 ◯ そもそもの始まりは、王子さまの結婚式だった 1810年、ルートヴィヒ皇太子とテレーゼ妃の祝宴 ここで少しだけ、ルーツの話を。 時は1810年。バイエルンのルートヴィヒ皇太子(のちのルートヴィヒ1世)と、テレーゼ妃の結婚を祝うお祝いごとが、すべての始まりでした。 このとき、結婚を祝う祝賀行事の幕開けとして10月17日に開かれた競馬が、記念すべき「第1回オクトーバーフェスト」とされています。会場となった広大な草原は、のちにテレーゼ妃にちなんで「テレージエンヴィーゼ(Theresienwiese=テレーゼの草原)」と名付けられました。 💡地元では「オクトーバーフェスト」と呼ばない ちなみに地元の人たちは、この祭りを「オクトーバーフェスト」とはあまり呼びません。会場の名前を縮めて、親しみを込めて「ヴィーズン(Wiesn)」と呼ぶんです。この愛称、なんと2017年にはドイツ語の権威ある辞書「ドゥーデン」にも正式に収録されました。地元っ子の言葉が、お墨付きをもらった瞬間ですね。 歴史の深掘りはこのくらいにして。ここからが、今回いちばんお伝えしたい話です。 《私たちが2025年9月に見た、本場の「お祭りの季節」》...

10杯のジョッキを運ぶウェイトレス、ビールを注ぎ続けるプロ、工場のような厨房──オクトーバーフェストを支える人たち

10杯のジョッキを運ぶウェイトレス、ビールを注ぎ続けるプロ、工場のような厨房──オクトーバーフ...

10杯のジョッキを運ぶウェイトレス、ビールを注ぎ続けるプロ、工場のような厨房──オクトーバーフェストを支える人たち テントの中で、思わず二度見した光景があります。 ひとりのウェイトレスが、両手で抱えたジョッキの山を、人混みの間をすり抜けるように運んでいく。数えてみたら8杯。1杯1リットルのビールがなみなみと入って、です。 「あれ、何キロあるんだろう……」 前回の記事では、オクトーバーフェストの「裏側」──主催者や出店権、設営の仕組みを解剖しました。でも現地で心を掴まれたのは、じつは仕組みよりも「人」だったんです。今回は、この巨大な祭りを最前線で支える人たちの話を。 「誰がこの祭りを動かしているのか」──主役は“人”だった   650万人が16日間で押し寄せる祭り。その一杯一杯を、最後に運んでいるのは生身の人間です。 テントの規模は工場並みでも、お客さんにビールを届ける瞬間は、結局のところ人の手にかかっている。私たちシュマッツもレストランの仕事をしているので、ここはどうしても気になってしまいました。 見れば見るほど、彼ら・彼女らの仕事は「すごい」を通り越して、ちょっと信じられないレベルなんです。 7杯、8杯、14杯──ジョッキを運ぶ超人技   標準は7杯、熟練者は8杯 現地のウェイトレスに話を聞くと、標準は「6杯+その上に1杯」の計7杯だそうです。取っ手を中央でぎゅっと握り、両手で抱える独特の持ち方をします。 熟練者になると8杯。重さにすると約18.5キロです。1リットルのジョッキは、満杯だと中身と合わせて約2.3キロありますから、米袋(5kg)3袋以上を抱えて歩き回る計算になります。 「もっと運べるけど、混んでるときは無理しないの」と、ある熟練のウェイトレスは笑っていたとか。安全第一、というわけですね。 記録は14杯以上、ギネスは19杯 ところが上には上がいます。報道では、一度に**14杯(約32キロ)**を運ぶ猛者が紹介されていました。個人記録で16杯という人も。 そしてギネス世界記録は、なんと19杯。2008年に達成された記録で、重さは約45キロにもなります。 45キロのビールを抱えて歩く。もはやアスリートの領域ですよね。あの華やかなディルンドル姿の裏に、これだけの体力勝負があるんです。 時給ゼロ? ウェイトレスは「自営業者」だった   ビールを「仕入れて売る」という働き方 ここがいちばん驚いたところです。 オクトーバーフェストのウェイトレスの多くは、テントに雇われた「時給労働者」ではありません。立場としては自営業者(selbstständig)。テントからビールを“仕入れ値”で買い取り、お客さんにメニュー価格で提供して、その差額とチップが収入になる仕組みなんです。 つまり、たくさん運んで、たくさん売った人ほど稼げる。あの猛烈な運搬スピードには、ちゃんと経済的な理由があったわけですね。   シーズンで5,000〜16,000ユーロ、でも12時間×16日 気になる収入は、現地メディアやバイエルン州の観光情報によれば、シーズン全体でおおむね5,000〜16,000ユーロ。日本円にすると、ざっくり80万〜250万円ほどでしょうか。...

10杯のジョッキを運ぶウェイトレス、ビールを注ぎ続けるプロ、工場のような厨房──オクトーバーフ...

10杯のジョッキを運ぶウェイトレス、ビールを注ぎ続けるプロ、工場のような厨房──オクトーバーフェストを支える人たち テントの中で、思わず二度見した光景があります。 ひとりのウェイトレスが、両手で抱えたジョッキの山を、人混みの間をすり抜けるように運んでいく。数えてみたら8杯。1杯1リットルのビールがなみなみと入って、です。 「あれ、何キロあるんだろう……」 前回の記事では、オクトーバーフェストの「裏側」──主催者や出店権、設営の仕組みを解剖しました。でも現地で心を掴まれたのは、じつは仕組みよりも「人」だったんです。今回は、この巨大な祭りを最前線で支える人たちの話を。 「誰がこの祭りを動かしているのか」──主役は“人”だった   650万人が16日間で押し寄せる祭り。その一杯一杯を、最後に運んでいるのは生身の人間です。 テントの規模は工場並みでも、お客さんにビールを届ける瞬間は、結局のところ人の手にかかっている。私たちシュマッツもレストランの仕事をしているので、ここはどうしても気になってしまいました。 見れば見るほど、彼ら・彼女らの仕事は「すごい」を通り越して、ちょっと信じられないレベルなんです。 7杯、8杯、14杯──ジョッキを運ぶ超人技   標準は7杯、熟練者は8杯 現地のウェイトレスに話を聞くと、標準は「6杯+その上に1杯」の計7杯だそうです。取っ手を中央でぎゅっと握り、両手で抱える独特の持ち方をします。 熟練者になると8杯。重さにすると約18.5キロです。1リットルのジョッキは、満杯だと中身と合わせて約2.3キロありますから、米袋(5kg)3袋以上を抱えて歩き回る計算になります。 「もっと運べるけど、混んでるときは無理しないの」と、ある熟練のウェイトレスは笑っていたとか。安全第一、というわけですね。 記録は14杯以上、ギネスは19杯 ところが上には上がいます。報道では、一度に**14杯(約32キロ)**を運ぶ猛者が紹介されていました。個人記録で16杯という人も。 そしてギネス世界記録は、なんと19杯。2008年に達成された記録で、重さは約45キロにもなります。 45キロのビールを抱えて歩く。もはやアスリートの領域ですよね。あの華やかなディルンドル姿の裏に、これだけの体力勝負があるんです。 時給ゼロ? ウェイトレスは「自営業者」だった   ビールを「仕入れて売る」という働き方 ここがいちばん驚いたところです。 オクトーバーフェストのウェイトレスの多くは、テントに雇われた「時給労働者」ではありません。立場としては自営業者(selbstständig)。テントからビールを“仕入れ値”で買い取り、お客さんにメニュー価格で提供して、その差額とチップが収入になる仕組みなんです。 つまり、たくさん運んで、たくさん売った人ほど稼げる。あの猛烈な運搬スピードには、ちゃんと経済的な理由があったわけですね。   シーズンで5,000〜16,000ユーロ、でも12時間×16日 気になる収入は、現地メディアやバイエルン州の観光情報によれば、シーズン全体でおおむね5,000〜16,000ユーロ。日本円にすると、ざっくり80万〜250万円ほどでしょうか。...

どうやって動かすのか?──主催者・出店者・広大な会場の仕組みを解剖する「オクトーバーフェストの裏側」

どうやって動かすのか?──主催者・出店者・広大な会場の仕組みを解剖する「オクトーバーフェストの裏側」

どうやって動かすのか?──主催者・出店者・広大な会場の仕組みを解剖する「オクトーバーフェストの裏側」 現地で何度も思ったことがあります。 「これ、どうやって回してるんだろう?」 飲食の仕事をしていると、どうしてもそういう目で見てしまうんですよね。仕入れは?スタッフのシフトは?仕込みのタイミングは?――でもオクトーバーフェストの場合、その問いの規模がもう私たちシュマッツとは全然違う次元ですが(笑)。 今回は、その「裏側」を以前ミュンヘンのオクトーバーフェストで働いた方にも話を聞き、迫ってみました。 「どうやって動かしているのか」──現地で湧いた素朴な疑問   ◯ 650万人を迎える「仮設の街」の規模感 オクトーバーフェストの会場は42ヘクタール(約42万平方メートル)。東京ドームのグラウンドが約4.6ヘクタールなので、単純計算で9個分ほどです。 「ふんふん」と聞き流せそうですよね。私たちも最初はそうでした。 でも実際に立つと、端から端まで歩いても歩いても終わらない。その敷地に、大型ビールテントが14棟以上、アトラクションが200基以上ひしめき合っています。電気・水道・ガスが引かれ、本格的なキッチンが動き、ATMまで並んでいる。 「街だ」と思いました。普通に。   ◯ 飲食の仕事をしているからこそ気になった裏側 たとえばシュマッツの一店舗でも、仕入れ・仕込み・スタッフ管理でそれなりの手間がかかります。でもオクトーバーフェストは16日間で650万人を迎える祭りです。気になってしまうのは職業病みたいなものかもしれません(笑)。 規模はケタ違いでも、問いかけは同じです。いったい誰が、どうやってこれを動かしているのか? テントを出す権利は「家業」として受け継がれる   ◯ 13項目の採点表で決まるコンセッション争奪戦 テント出店者はミュンヘン市から出店権を与えられた業者です。希望すれば誰でも応募できますが、現実はかなり厳しい。 ミュンヘン市は出店希望者を13項目の採点基準で評価します。各項目は0〜11点で採点され、係数をかけた総合スコアで配分が決まる。事業計画の実現可能性、コンセプト、衛生・安全への取り組みなどが評価されますが、審査は市議会の非公開会議で行われるため、外からはほとんど見えません。   ◯ 5世代・160年──ショッテンハーメル家という伝説 この制度には、長く続けるほど有利になるしくみが組み込まれています。継続して出店している業者は5回の出店ごとに1ボーナスポイントが加算され、40年以上継続の飲食業者には「伝統ポイント」まで付与されます。 つまり、ボーナスが積み重なれば積み重なるほど、新参者が逆転するのは難しくなっていく。 その象徴がショッテンハーメル(Schottenhamel)家です。1867年から現在まで5世代にわたってテントを運営し続けています。オクトーバーフェストの開幕を告げる「開栓の儀」──ミュンヘン市長が最初のビール樽に木槌を打ち込む式典──が毎年行われるのも、この一族のテントです。...

どうやって動かすのか?──主催者・出店者・広大な会場の仕組みを解剖する「オクトーバーフェストの裏側」

どうやって動かすのか?──主催者・出店者・広大な会場の仕組みを解剖する「オクトーバーフェストの裏側」 現地で何度も思ったことがあります。 「これ、どうやって回してるんだろう?」 飲食の仕事をしていると、どうしてもそういう目で見てしまうんですよね。仕入れは?スタッフのシフトは?仕込みのタイミングは?――でもオクトーバーフェストの場合、その問いの規模がもう私たちシュマッツとは全然違う次元ですが(笑)。 今回は、その「裏側」を以前ミュンヘンのオクトーバーフェストで働いた方にも話を聞き、迫ってみました。 「どうやって動かしているのか」──現地で湧いた素朴な疑問   ◯ 650万人を迎える「仮設の街」の規模感 オクトーバーフェストの会場は42ヘクタール(約42万平方メートル)。東京ドームのグラウンドが約4.6ヘクタールなので、単純計算で9個分ほどです。 「ふんふん」と聞き流せそうですよね。私たちも最初はそうでした。 でも実際に立つと、端から端まで歩いても歩いても終わらない。その敷地に、大型ビールテントが14棟以上、アトラクションが200基以上ひしめき合っています。電気・水道・ガスが引かれ、本格的なキッチンが動き、ATMまで並んでいる。 「街だ」と思いました。普通に。   ◯ 飲食の仕事をしているからこそ気になった裏側 たとえばシュマッツの一店舗でも、仕入れ・仕込み・スタッフ管理でそれなりの手間がかかります。でもオクトーバーフェストは16日間で650万人を迎える祭りです。気になってしまうのは職業病みたいなものかもしれません(笑)。 規模はケタ違いでも、問いかけは同じです。いったい誰が、どうやってこれを動かしているのか? テントを出す権利は「家業」として受け継がれる   ◯ 13項目の採点表で決まるコンセッション争奪戦 テント出店者はミュンヘン市から出店権を与えられた業者です。希望すれば誰でも応募できますが、現実はかなり厳しい。 ミュンヘン市は出店希望者を13項目の採点基準で評価します。各項目は0〜11点で採点され、係数をかけた総合スコアで配分が決まる。事業計画の実現可能性、コンセプト、衛生・安全への取り組みなどが評価されますが、審査は市議会の非公開会議で行われるため、外からはほとんど見えません。   ◯ 5世代・160年──ショッテンハーメル家という伝説 この制度には、長く続けるほど有利になるしくみが組み込まれています。継続して出店している業者は5回の出店ごとに1ボーナスポイントが加算され、40年以上継続の飲食業者には「伝統ポイント」まで付与されます。 つまり、ボーナスが積み重なれば積み重なるほど、新参者が逆転するのは難しくなっていく。 その象徴がショッテンハーメル(Schottenhamel)家です。1867年から現在まで5世代にわたってテントを運営し続けています。オクトーバーフェストの開幕を告げる「開栓の儀」──ミュンヘン市長が最初のビール樽に木槌を打ち込む式典──が毎年行われるのも、この一族のテントです。...

ソーセージだけじゃない──オクトーバーフェストで食べるべき本場料理と、ビールとの合わせ方【オクトーバーフェスト訪問記④】

ソーセージだけじゃない──オクトーバーフェストで食べるべき本場料理と、ビールとの合わせ方【オク...

ソーセージだけじゃない──オクトーバーフェストで食べるべき本場料理と、ビールとの合わせ方【オクトーバーフェスト訪問記④】 「オクトーバーフェストって、ビールをたっぷり飲むところでしょ?」 正直、私たちシュマッツメンバーもそのくらいの認識でミュンヘンに向かいました。でも実際にテレージエンヴィーゼのテントに入った瞬間、ビールジョッキ以外にも様々な料理と、それをつくる巨大な調理場に驚きました。   テントに入って最初に気づいたこと──食事の存在感 「ビールだけ」では行かれない理由   オクトーバーフェストのテントに一歩入ると、まず目に飛び込んでくるのはジョッキを運ぶウェイトレスたちの姿。でもよく見ると、両手にジョッキだけでなく大皿も抱えています。丸焼きのチキン、骨付き豚脚、大判のブレッツェルが次々とテーブルへ。 テント内は基本的に着席制です。席を確保してウェイトレスを呼べば、料理もビールも一緒に注文できます。「立ち飲みでビールだけ」という場面はほとんど見かけませんでした。むしろ、料理を頼まずに飲んでいる人のほうが珍しいくらい。 ドイツ人にとって、ビールと食事は最初からセットなんです。おなかを満たしながら飲むことで、何時間でもテントにいられる。そういう設計で文化が作られているのを、現地で改めて肌で感じました。ビールの飲み方や楽しみ方の背景が気になる方は、こちらの記事「[本場ドイツのビールの楽しみ方]」もあわせて読んでみてください! まずは押さえておきたい、現地の定番3品   ヴィースンヘンドル──皮パリッと、ビール片手にかぶりつく テント内でいちばんよく見かけた料理が、ハーフチキン(ヴィースンヘンドル)です。「Wiesn(ヴィースン)」はテレージエンヴィーゼの通称、「Hendl(ヘンドル)」はバイエルン方言でニワトリのこと。「お祭りのチキン」という意味合いです。 これが想像以上においしい。ホフブロイのテントでは「frisch vom Spieß(串から取り立て)」と明記されていて、皮はパリパリ、中はジューシー。パセリとバターで仕上げた伝統製法で、手でつかんでかぶりつくのが現地のスタイル。ナイフとフォークを使っているのは観光客だったりします(笑)。   シュバインスハクセ──骨ごと出てくる迫力の豚脚 もう一つ、テント内で「おっ」となるのがシュバインスハクセ(Schweinshaxe)。豚の脚肉を丸ごとローストした一品で、大皿に骨ごとドンと出てきます。 外はカリカリ、中はほろりとほぐれる食感。2〜3人でシェアできるボリュームがあります。日本では「アイスバイン」という名前の塩漬け豚脚料理が知られていますが、シュバインスハクセはローストタイプで別物です。見た目のインパクトも含めて、「本場に来たな」と感じさせてくれる一皿でした。   ブレッツェル──それ、「プレッツェル」とは別物です 「プレッツェルって、コンビニで売っているカリカリのやつですよね?」 実は、オクトーバーフェストで食べるものはそれとは全然違います。現地での名称は「Brezel(ブレッツェル)」。バイエルン方言では「Brezn(ブレッツン)」と呼ばれています。 日本語の「プレッツェル」は英語の"pretzel"が由来で、主にスナック菓子のイメージとして定着しました。でも本場のブレッツェルはやわらかいパンです。ラウゲン(アルカリ液)に浸してから焼くことで、表面が深い茶褐色になり、独特のもっちり感と塩気が生まれます。 テントで出てくるサイズは、両手で抱えてもはみ出るほど大きい。ちぎって食べるのが正解で、ビールを飲みながらつまめるのがいいんです。「プレッツェル=スナック」のイメージしかなかった方は、ぜひ本物のブレッツェルを体験してみてほしいです。   バイエルン人が本当に好きなもの──オバツダという発明 廃棄から生まれた「チーズスプレッド」の正体...

ソーセージだけじゃない──オクトーバーフェストで食べるべき本場料理と、ビールとの合わせ方【オク...

ソーセージだけじゃない──オクトーバーフェストで食べるべき本場料理と、ビールとの合わせ方【オクトーバーフェスト訪問記④】 「オクトーバーフェストって、ビールをたっぷり飲むところでしょ?」 正直、私たちシュマッツメンバーもそのくらいの認識でミュンヘンに向かいました。でも実際にテレージエンヴィーゼのテントに入った瞬間、ビールジョッキ以外にも様々な料理と、それをつくる巨大な調理場に驚きました。   テントに入って最初に気づいたこと──食事の存在感 「ビールだけ」では行かれない理由   オクトーバーフェストのテントに一歩入ると、まず目に飛び込んでくるのはジョッキを運ぶウェイトレスたちの姿。でもよく見ると、両手にジョッキだけでなく大皿も抱えています。丸焼きのチキン、骨付き豚脚、大判のブレッツェルが次々とテーブルへ。 テント内は基本的に着席制です。席を確保してウェイトレスを呼べば、料理もビールも一緒に注文できます。「立ち飲みでビールだけ」という場面はほとんど見かけませんでした。むしろ、料理を頼まずに飲んでいる人のほうが珍しいくらい。 ドイツ人にとって、ビールと食事は最初からセットなんです。おなかを満たしながら飲むことで、何時間でもテントにいられる。そういう設計で文化が作られているのを、現地で改めて肌で感じました。ビールの飲み方や楽しみ方の背景が気になる方は、こちらの記事「[本場ドイツのビールの楽しみ方]」もあわせて読んでみてください! まずは押さえておきたい、現地の定番3品   ヴィースンヘンドル──皮パリッと、ビール片手にかぶりつく テント内でいちばんよく見かけた料理が、ハーフチキン(ヴィースンヘンドル)です。「Wiesn(ヴィースン)」はテレージエンヴィーゼの通称、「Hendl(ヘンドル)」はバイエルン方言でニワトリのこと。「お祭りのチキン」という意味合いです。 これが想像以上においしい。ホフブロイのテントでは「frisch vom Spieß(串から取り立て)」と明記されていて、皮はパリパリ、中はジューシー。パセリとバターで仕上げた伝統製法で、手でつかんでかぶりつくのが現地のスタイル。ナイフとフォークを使っているのは観光客だったりします(笑)。   シュバインスハクセ──骨ごと出てくる迫力の豚脚 もう一つ、テント内で「おっ」となるのがシュバインスハクセ(Schweinshaxe)。豚の脚肉を丸ごとローストした一品で、大皿に骨ごとドンと出てきます。 外はカリカリ、中はほろりとほぐれる食感。2〜3人でシェアできるボリュームがあります。日本では「アイスバイン」という名前の塩漬け豚脚料理が知られていますが、シュバインスハクセはローストタイプで別物です。見た目のインパクトも含めて、「本場に来たな」と感じさせてくれる一皿でした。   ブレッツェル──それ、「プレッツェル」とは別物です 「プレッツェルって、コンビニで売っているカリカリのやつですよね?」 実は、オクトーバーフェストで食べるものはそれとは全然違います。現地での名称は「Brezel(ブレッツェル)」。バイエルン方言では「Brezn(ブレッツン)」と呼ばれています。 日本語の「プレッツェル」は英語の"pretzel"が由来で、主にスナック菓子のイメージとして定着しました。でも本場のブレッツェルはやわらかいパンです。ラウゲン(アルカリ液)に浸してから焼くことで、表面が深い茶褐色になり、独特のもっちり感と塩気が生まれます。 テントで出てくるサイズは、両手で抱えてもはみ出るほど大きい。ちぎって食べるのが正解で、ビールを飲みながらつまめるのがいいんです。「プレッツェル=スナック」のイメージしかなかった方は、ぜひ本物のブレッツェルを体験してみてほしいです。   バイエルン人が本当に好きなもの──オバツダという発明 廃棄から生まれた「チーズスプレッド」の正体...

アウグスティーナーのビアホールで知った「軽いのに飲み応え」の秘密──ダブルデコクションと日常を大切にするブランド哲学【オクトーバーフェスト訪問記③】

アウグスティーナーのビアホールで知った「軽いのに飲み応え」の秘密──ダブルデコクションと日常を...

アウグスティーナーのビアホールで知った「軽いのに飲み応え」の秘密──ダブルデコクションと日常を大切にするブランド哲学【オクトーバーフェスト訪問記③】 アウグスティーナーのビアホールに踏み込んだ日 あの木樽のビールを飲んでから、「なぜこんなに飲み続けられるのか」という問いが頭から離れませんでした。 前回の訪問記で書いたように、オクトーバーフェストの6大テントのうち、木樽(Holzfass)から直接ビールを提供しているのはアウグスティーナーだけです。1987年以降、ずっとそうしてきた唯一の醸造所。あのなめらかな口当たり、炭酸が舌を刺さずに麦の旨味がじわっと広がる感覚──その正体を確かめたくて、私たちシュマッツチームは翌日、ミュンヘン旧市街にある本拠地へ向かいました。 オクトーバーフェストの全体像はこちらのガイド記事で   テントの興奮が冷めないうちに向かった本拠地 アウグスティーナー・ブロイシュトゥーベン(Augustiner Bräustuben)は、フラウエン教会からほど近い石造りのビアホールです。テントの喧騒とはまるで違う、落ち着いた空気がありました。木のテーブル、高い天井、地元のおじさんたちが昼から黙々とビールを飲んでいる。そういう場所です。 注文すると、バーテンダーがカウンター奥の木樽から、ガス圧を使わずにビールを注ぎます。シュッという音もなく、重力に従ってビールが静かにグラスへ落ちてくる。アウグスティーナーは「外部のガス圧を一切使わず、樽の重さと重力だけで提供する」という哲学を、公式サイトで堂々と宣言しています("It flows fresh and cool from the barrel, and only under the pressure of its own weight")。 石造りの空間と、重力だけで流れるビール 加圧していないということは、炭酸ガスの含有量が通常のケグビールより少ないということです。舌への刺激が弱い分、麦の旨味が直接届く。テントで感じた「やわらかさ」はここから来ていたわけです。 ちなみに、ブロイシュトゥーベンのバーカウンターには手動のエレベーターが設置されています。100リットルまでの重い木樽を上の階から降ろしてくるための設備です。タンクとガス圧に切り替えれば、そんな仕組みも人手も要らない。それでもやめないのは、このビールの「味」がそこにかかっているから。 「なぜ飲み続けられるのか」──前回からの問いを持って...

アウグスティーナーのビアホールで知った「軽いのに飲み応え」の秘密──ダブルデコクションと日常を...

アウグスティーナーのビアホールで知った「軽いのに飲み応え」の秘密──ダブルデコクションと日常を大切にするブランド哲学【オクトーバーフェスト訪問記③】 アウグスティーナーのビアホールに踏み込んだ日 あの木樽のビールを飲んでから、「なぜこんなに飲み続けられるのか」という問いが頭から離れませんでした。 前回の訪問記で書いたように、オクトーバーフェストの6大テントのうち、木樽(Holzfass)から直接ビールを提供しているのはアウグスティーナーだけです。1987年以降、ずっとそうしてきた唯一の醸造所。あのなめらかな口当たり、炭酸が舌を刺さずに麦の旨味がじわっと広がる感覚──その正体を確かめたくて、私たちシュマッツチームは翌日、ミュンヘン旧市街にある本拠地へ向かいました。 オクトーバーフェストの全体像はこちらのガイド記事で   テントの興奮が冷めないうちに向かった本拠地 アウグスティーナー・ブロイシュトゥーベン(Augustiner Bräustuben)は、フラウエン教会からほど近い石造りのビアホールです。テントの喧騒とはまるで違う、落ち着いた空気がありました。木のテーブル、高い天井、地元のおじさんたちが昼から黙々とビールを飲んでいる。そういう場所です。 注文すると、バーテンダーがカウンター奥の木樽から、ガス圧を使わずにビールを注ぎます。シュッという音もなく、重力に従ってビールが静かにグラスへ落ちてくる。アウグスティーナーは「外部のガス圧を一切使わず、樽の重さと重力だけで提供する」という哲学を、公式サイトで堂々と宣言しています("It flows fresh and cool from the barrel, and only under the pressure of its own weight")。 石造りの空間と、重力だけで流れるビール 加圧していないということは、炭酸ガスの含有量が通常のケグビールより少ないということです。舌への刺激が弱い分、麦の旨味が直接届く。テントで感じた「やわらかさ」はここから来ていたわけです。 ちなみに、ブロイシュトゥーベンのバーカウンターには手動のエレベーターが設置されています。100リットルまでの重い木樽を上の階から降ろしてくるための設備です。タンクとガス圧に切り替えれば、そんな仕組みも人手も要らない。それでもやめないのは、このビールの「味」がそこにかかっているから。 「なぜ飲み続けられるのか」──前回からの問いを持って...

6大テントを飲み歩いて出会った「別格」──なぜアウグスティーナーだけが木樽で、あの塔に保管されているのか【シュマッツ訪問記②】

6大テントを飲み歩いて出会った「別格」──なぜアウグスティーナーだけが木樽で、あの塔に保管され...

6大テントを飲み歩いて出会った「別格」──なぜアウグスティーナーだけが木樽で、あの塔に保管されているのか【シュマッツ訪問記②】 「どのテントのビールがいちばんおすすめですか?」 これ、ミュンヘンのオクトーバーフェストに行く前から、正直ずっと悩んでいた問いでした。日本でドイツビールを扱うシュマッツとして、実際に飲み比べて確かめなければ答えられない。そう思って、6大醸造所テントをめぐる「飲み比べ行脚」に出発しました! まず驚いたのは、テントの「性格」の違いだった 6大醸造所(アウグスティーナー・パウラーナー・レーベンブロイ・ホフブロイ・ハッカー・プショル・シュパーテン)はそれぞれ数千人規模の巨大テント(Zelt/ツェルト)を構えています。 ホフブロイ(Hofbräu)のテントは、名前の知名度そのままに国際色が強い雰囲気でした。テーブルの上で踊る人、慣れない手つきで乾杯を繰り返す人。なんと、ここはベンチの上でのダンスを公式に許可している唯一のテントでもあるんです。外国語が飛び交い、雰囲気は完全に「観光地」のそれでした。 ハッカー・プショル(Hacker-Pschorr)の「Himmel der Bayern(ヒンメル・デア・バイエルン=バイエルンの天国)」は天井に青空と白い雲が描かれた独自の世界観が印象的。シュパーテン(Spaten)のSchottenhamel(ショッテンハーメル)テントは毎年の開会式「O'zapft is!(オアツァプフト・イス!)」が行われる歴史的な場所で、屋外ビアガーデンの広さは全テント随一です。 どこも雰囲気はある。でも、日本でドイツビールに詳しい人に事前に聞いていた答えがここで重なりました。「絶対アウグスティーナーだよ」と。 口に含んだ瞬間、「あ、これは違う」と思った アウグスティーナー・フェスタレに入ると、空気が少し違う感じがしました。1928年から基本構造が変わっていないというテント内部は、緑色のキャノピーが柔らかい光を作り出していて、ヴィンテージな落ち着きがあります。 席に着き、1リットルのマスジョッキ(Masskrug)を受け取る。口に含んだ瞬間、全員が同じことを感じました。 **炭酸の刺激が少ない。まろやか。するすると喉に入っていく。** アルコール度数は6.3%と決して低くはないのに、飲み疲れない。なぜだろう──その答えは、テントの外に出たときに待っていました。 6大醸造所で唯一、木樽を使い続けている ◯ 実は1987年以降、他の5社はスチールタンクへ移行していた アウグスティーナーには、他のすべての醸造所と根本的に違う点があります。**木樽(Holzfass/ホルツファス)からの提供**です。 実は今のオクトーバーフェストで、残りの5大醸造所はすべてステンレス製のタンクを使っているんです。転換点は1984年。木樽の調達が難しくなったことを理由に複数の醸造所がタンクに切り替え始め、1987年以降はアウグスティーナーだけが木樽を守り続けることになりました。 ◯ 200リットルの手作りオーク樽、その名も「Hirsch(ヒルシュ)」 アウグスティーナーの木樽には「**Hirsch(ヒルシュ)**」という名前があります。直訳すると「雄鹿」。満タンにすると重量が約300kgになり、それが成体の雄鹿とほぼ同じ重さだからという説が有力です。 一本一本が職人(Schäffler/シェフラー)の手作りで、製造には8〜10時間かかります。容量は200リットル、耐用年数は約30年。内側は伝統的な天然樹脂で定期的にコーティングされ(Picherei/ピッヒャライ)、大切に管理されています。ちなみに、樽の製造工場はミュンヘン近郊に醸造所直営で設けられていて、100年前と変わらぬ手仕事でHirschが作られているんですよ。 フェスト期間中に使う木樽はなんと**約1,100本**。1本の200L樽はフル稼働のテントでは約20分で空になります。空き樽は毎夜回収され、醸造所で洗浄・充填されて翌朝また会場へ。この24時間サイクルが「常に新鮮な樽のビール」を実現しているというわけです。 テントの外に立っていた「塔」──その正体に驚いた ◯ 1926年生まれ、2010年に復活した冷蔵タワー テントの外に出て、ふと視線を上げると──見慣れない構造物が立っていました。...

6大テントを飲み歩いて出会った「別格」──なぜアウグスティーナーだけが木樽で、あの塔に保管され...

6大テントを飲み歩いて出会った「別格」──なぜアウグスティーナーだけが木樽で、あの塔に保管されているのか【シュマッツ訪問記②】 「どのテントのビールがいちばんおすすめですか?」 これ、ミュンヘンのオクトーバーフェストに行く前から、正直ずっと悩んでいた問いでした。日本でドイツビールを扱うシュマッツとして、実際に飲み比べて確かめなければ答えられない。そう思って、6大醸造所テントをめぐる「飲み比べ行脚」に出発しました! まず驚いたのは、テントの「性格」の違いだった 6大醸造所(アウグスティーナー・パウラーナー・レーベンブロイ・ホフブロイ・ハッカー・プショル・シュパーテン)はそれぞれ数千人規模の巨大テント(Zelt/ツェルト)を構えています。 ホフブロイ(Hofbräu)のテントは、名前の知名度そのままに国際色が強い雰囲気でした。テーブルの上で踊る人、慣れない手つきで乾杯を繰り返す人。なんと、ここはベンチの上でのダンスを公式に許可している唯一のテントでもあるんです。外国語が飛び交い、雰囲気は完全に「観光地」のそれでした。 ハッカー・プショル(Hacker-Pschorr)の「Himmel der Bayern(ヒンメル・デア・バイエルン=バイエルンの天国)」は天井に青空と白い雲が描かれた独自の世界観が印象的。シュパーテン(Spaten)のSchottenhamel(ショッテンハーメル)テントは毎年の開会式「O'zapft is!(オアツァプフト・イス!)」が行われる歴史的な場所で、屋外ビアガーデンの広さは全テント随一です。 どこも雰囲気はある。でも、日本でドイツビールに詳しい人に事前に聞いていた答えがここで重なりました。「絶対アウグスティーナーだよ」と。 口に含んだ瞬間、「あ、これは違う」と思った アウグスティーナー・フェスタレに入ると、空気が少し違う感じがしました。1928年から基本構造が変わっていないというテント内部は、緑色のキャノピーが柔らかい光を作り出していて、ヴィンテージな落ち着きがあります。 席に着き、1リットルのマスジョッキ(Masskrug)を受け取る。口に含んだ瞬間、全員が同じことを感じました。 **炭酸の刺激が少ない。まろやか。するすると喉に入っていく。** アルコール度数は6.3%と決して低くはないのに、飲み疲れない。なぜだろう──その答えは、テントの外に出たときに待っていました。 6大醸造所で唯一、木樽を使い続けている ◯ 実は1987年以降、他の5社はスチールタンクへ移行していた アウグスティーナーには、他のすべての醸造所と根本的に違う点があります。**木樽(Holzfass/ホルツファス)からの提供**です。 実は今のオクトーバーフェストで、残りの5大醸造所はすべてステンレス製のタンクを使っているんです。転換点は1984年。木樽の調達が難しくなったことを理由に複数の醸造所がタンクに切り替え始め、1987年以降はアウグスティーナーだけが木樽を守り続けることになりました。 ◯ 200リットルの手作りオーク樽、その名も「Hirsch(ヒルシュ)」 アウグスティーナーの木樽には「**Hirsch(ヒルシュ)**」という名前があります。直訳すると「雄鹿」。満タンにすると重量が約300kgになり、それが成体の雄鹿とほぼ同じ重さだからという説が有力です。 一本一本が職人(Schäffler/シェフラー)の手作りで、製造には8〜10時間かかります。容量は200リットル、耐用年数は約30年。内側は伝統的な天然樹脂で定期的にコーティングされ(Picherei/ピッヒャライ)、大切に管理されています。ちなみに、樽の製造工場はミュンヘン近郊に醸造所直営で設けられていて、100年前と変わらぬ手仕事でHirschが作られているんですよ。 フェスト期間中に使う木樽はなんと**約1,100本**。1本の200L樽はフル稼働のテントでは約20分で空になります。空き樽は毎夜回収され、醸造所で洗浄・充填されて翌朝また会場へ。この24時間サイクルが「常に新鮮な樽のビール」を実現しているというわけです。 テントの外に立っていた「塔」──その正体に驚いた ◯ 1926年生まれ、2010年に復活した冷蔵タワー テントの外に出て、ふと視線を上げると──見慣れない構造物が立っていました。...

6万人のビール祭りに飛び込んで気づいたこと──世界最大のイベントのリアルな姿【オクトーバーフェスト訪問記①】

6万人のビール祭りに飛び込んで気づいたこと──世界最大のイベントのリアルな姿【オクトーバーフェ...

6万人のビール祭りに飛び込んで気づいたこと──世界最大のイベントのリアルな姿【オクトーバーフェスト訪問記①】 ミュンヘンに行ってきました。 想像の20倍くらいすごかったです。これが正直な感想です。 「650万人が16日間で集まる」という数字は事前に知っていました。でも数字って不思議で、頭でわかっていても体に入ってこない。テレージエンヴィーゼ(Theresienwiese)に実際に足を踏み入れるまでは、本当の意味でわかっていなかったんだと思います。 今回から数回にわけて、私たちシュマッツスタッフが現地で見て・感じたことをそのままお伝えします。 地下鉄を降りた瞬間、もう別の世界だった ミュンヘン中央駅(ハウプトバーンホフ)から地下鉄に乗って3駅。テレージエンヴィーゼ駅を降りると、改札を出た瞬間から空気が変わります。 正確には、電車に乗り込んだ時点からすでに変わっていました。駅ごとに、民族衣装を着た人がどんどん増えていく。青いワンピースのディルンドル、革のパンツのレーダーホーゼン。みんなどこか楽しそうで、電車の中からじわじわと気分が上がっていきます。 ちなみにミュンヘン中央駅から歩いても約15分。標識も出ているので迷う心配はありません。ただ、人の波に飲み込まれながら歩くことになります(笑)。 「広い」ってこういうことか、と思った 会場の総面積は42ヘクタール。東京ドーム約9個分です。 「ふんふん」と聞き流せそうですよね。私たちも最初はそうでした。でも実際に立ってみると、端から端まで約1.2km。歩いても歩いても「まだある」という感覚が続きます。   テントが14棟、合計席数が11万席を超える その広大な敷地の中に、大きなビールテントが14棟、ずらりと建ち並んでいます。大テント1棟だけで6,000〜10,000席。最大のホフブロイ・フェストゥツェルトで約10,000席です。 日本で10,000席の会場といえばドームクラスの話ですよね。それが「テント」で、それが14棟ある。小テントも合わせると会場全体の総席数は11万席を超えます。この規模が16日間、毎日稼働しているわけです。   16日間でなんと670万人が来場する 2024年の来場者数は670万人(出典:ミュンヘン市公式 muenchen.de)。1日平均で40万人を超えます。 週末の昼下がりに現地にいると、「どこを見ても人、人、人」という状態で、視界が人で埋まっています。日本のイベントではこの広さとこの人ごみの密度は、なかなか体験できません。 テントの中へ──6,000人が同じタイミングでジョッキを掲げる 扉を開けると、熱気と音楽と笑い声が一気に押し寄せます。天井まで届く木の柱、揺れる照明。ほぼ全員が、1リットルの大きなジョッキ「マス(Maß)」を両手で持って飲んでいます。 「Ein Prosit!」──全員が同じタイミングで動く しばらくすると、バンドの演奏が止まって誰かが叫ぶんです。「アイン・プロジット(Ein Prosit)!」──乾杯、という意味です。 すると6,000人が一斉にジョッキを高く掲げる。ドイツ語がわからなくても、周りを見ていれば自然と体が動きます。私たちも気づいたら一緒にジョッキを上げていました。笑いながら。あの一体感、ちょっと言葉にできません。   席を「取る」が最初のミッション...

6万人のビール祭りに飛び込んで気づいたこと──世界最大のイベントのリアルな姿【オクトーバーフェ...

6万人のビール祭りに飛び込んで気づいたこと──世界最大のイベントのリアルな姿【オクトーバーフェスト訪問記①】 ミュンヘンに行ってきました。 想像の20倍くらいすごかったです。これが正直な感想です。 「650万人が16日間で集まる」という数字は事前に知っていました。でも数字って不思議で、頭でわかっていても体に入ってこない。テレージエンヴィーゼ(Theresienwiese)に実際に足を踏み入れるまでは、本当の意味でわかっていなかったんだと思います。 今回から数回にわけて、私たちシュマッツスタッフが現地で見て・感じたことをそのままお伝えします。 地下鉄を降りた瞬間、もう別の世界だった ミュンヘン中央駅(ハウプトバーンホフ)から地下鉄に乗って3駅。テレージエンヴィーゼ駅を降りると、改札を出た瞬間から空気が変わります。 正確には、電車に乗り込んだ時点からすでに変わっていました。駅ごとに、民族衣装を着た人がどんどん増えていく。青いワンピースのディルンドル、革のパンツのレーダーホーゼン。みんなどこか楽しそうで、電車の中からじわじわと気分が上がっていきます。 ちなみにミュンヘン中央駅から歩いても約15分。標識も出ているので迷う心配はありません。ただ、人の波に飲み込まれながら歩くことになります(笑)。 「広い」ってこういうことか、と思った 会場の総面積は42ヘクタール。東京ドーム約9個分です。 「ふんふん」と聞き流せそうですよね。私たちも最初はそうでした。でも実際に立ってみると、端から端まで約1.2km。歩いても歩いても「まだある」という感覚が続きます。   テントが14棟、合計席数が11万席を超える その広大な敷地の中に、大きなビールテントが14棟、ずらりと建ち並んでいます。大テント1棟だけで6,000〜10,000席。最大のホフブロイ・フェストゥツェルトで約10,000席です。 日本で10,000席の会場といえばドームクラスの話ですよね。それが「テント」で、それが14棟ある。小テントも合わせると会場全体の総席数は11万席を超えます。この規模が16日間、毎日稼働しているわけです。   16日間でなんと670万人が来場する 2024年の来場者数は670万人(出典:ミュンヘン市公式 muenchen.de)。1日平均で40万人を超えます。 週末の昼下がりに現地にいると、「どこを見ても人、人、人」という状態で、視界が人で埋まっています。日本のイベントではこの広さとこの人ごみの密度は、なかなか体験できません。 テントの中へ──6,000人が同じタイミングでジョッキを掲げる 扉を開けると、熱気と音楽と笑い声が一気に押し寄せます。天井まで届く木の柱、揺れる照明。ほぼ全員が、1リットルの大きなジョッキ「マス(Maß)」を両手で持って飲んでいます。 「Ein Prosit!」──全員が同じタイミングで動く しばらくすると、バンドの演奏が止まって誰かが叫ぶんです。「アイン・プロジット(Ein Prosit)!」──乾杯、という意味です。 すると6,000人が一斉にジョッキを高く掲げる。ドイツ語がわからなくても、周りを見ていれば自然と体が動きます。私たちも気づいたら一緒にジョッキを上げていました。笑いながら。あの一体感、ちょっと言葉にできません。   席を「取る」が最初のミッション...

オクトーバーフェストとは?歴史・ビール・料理・本場の楽しみ方までご案内

オクトーバーフェストとは?歴史・ビール・料理・本場の楽しみ方までご案内

オクトーバーフェストとは?歴史・ビール・料理・本場の楽しみ方までご案内   世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」の歴史・起源・6大醸造所・定番料理まで完全解説。実際にミュンヘンを訪れたシュマッツが、ガイドブックには載っていない本場の姿をお伝えします。 秋になると、ミュンヘンから不思議なニュースが届きます。650万人が集まり、16日間で650万リットルのビールが飲まれる。スタッフだけで1万3千人。ビール1杯が約2,500円。 「いったいどんな祭りなんだ……」と気になり続けていた私たちシュマッツメンバー4名も、昨年ついにミュンヘンのオクトーバーフェストに行ってきました。現地で驚いたことは山ほどあって、その話は次回から「訪問記」シリーズとして詳しくお伝えするつもりです。まずはこの記事で、オクトーバーフェストの全体像を掴んでもらえれば! 1810年、一人の花嫁の名前から始まった オクトーバーフェストが生まれたのは、1810年10月17日のことです。 バイエルン王国の皇太子ルートヴィヒ(後のルートヴィヒ1世)が結婚した記念に、ミュンヘン郊外の草原で競馬大会が開かれました。なんと約4万人の市民が集まって盛大に祝ったといいます。   「テレーゼの草地」という名前の由来 この草原に、バイエルン王マクシミリアン1世が名前をつけました。「この場所を、花嫁テレーゼへの敬意を込めて"テレーゼの草地"と呼ぼう」──それが今も残る「テレージエンヴィーゼ(Theresienwiese)」の由来です。ミュンヘン市民には「ヴィースン(Wiesn)」と略して呼ばれ、200年以上たった今もその名前は変わっていません。 翌年からは農業品評会が加わり、やがて娯楽施設も増え、大手醸造所が大型テントを建て始め──今の形になるまで200年かかっているわけです。 ちなみに、最初のきっかけとなった競馬大会はなんと1960年まで続いていました。ビール祭りとして定着した今では想像しにくいですが、実は一世紀半にわたって馬が走っていた。そんな意外な歴史もオクトーバーフェストの面白さです。   戦争もコロナも乗り越えて、今年で191回目 200年の歴史の中で、オクトーバーフェストは約24回中止されてきました。戦争・コレラの流行・ハイパーインフレーション、そして記憶に新しい2020〜2021年のコロナによる2年連続中止。1813年以来最長のブランクでした。それでも毎回復活してきた祭りが、2026年で第191回目を迎えます。 なぜ「10月祭」なのに9月に始まるの? 「Oktoberfest(10月のお祭り)なのに、なぜ9月から始まるの?」 これ、多くの方がひっかかるポイントですよね。答えはシンプルで、ミュンヘンの10月の天気が悪いからです。 答えは1872年の「吹雪」にある 記録によれば、1829年の開催中には突然の吹雪でテントが全閉鎖に追い込まれたこともあります。一方で9月末には「インディアンサマー(Altweibersommer)」と呼ばれる穏やかな晴天が続く。それならいっそ早めよう、ということで1872年に開幕が9月に変更されました。 「10月祭」という名前だけが残り、中身は9月に移った。なんとも実用的な理由ですが、それがドイツらしい(笑)。 現在のルールでは「9月第3土曜日に開幕、10月第1日曜日または10月3日のいずれか遅い方で閉幕」。**2026年は9月19日(土)〜10月4日(日)**の16日間です。 その規模、想像を超えてくる 正直に言うと、現地に行くまで「大きなビール祭りね」くらいにしか思っていませんでした。でも実際に会場に足を踏み入れた瞬間、考えが変わりました。 650万人・42ヘクタール・38棟のテント テレージエンヴィーゼの広さは42ヘクタール(東京ドーム約9個分)。そこに大テント14棟・小テント21棟が並び、総座席数は約12万席。2025年の実績では16日間で650万人が来場し、650万リットルのビールが消費されました。史上最高は2023年の720万人で、これは1985年の710万人という記録を40年ぶりに更新したもの。 6つの醸造所が競うビールの世界 オクトーバーフェストで飲めるビールは、ミュンヘンの公式6醸造所のものだけと決まっています。Augustiner(アウグスティーナー)・Paulaner(パウラーナー)・Löwenbräu(レーヴェンブロイ)・Hofbräu(ホフブロイ)・Hacker-Pschorr(ハッカー・プショル)・Spaten(シュパーテン)。  ...

オクトーバーフェストとは?歴史・ビール・料理・本場の楽しみ方までご案内

オクトーバーフェストとは?歴史・ビール・料理・本場の楽しみ方までご案内   世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」の歴史・起源・6大醸造所・定番料理まで完全解説。実際にミュンヘンを訪れたシュマッツが、ガイドブックには載っていない本場の姿をお伝えします。 秋になると、ミュンヘンから不思議なニュースが届きます。650万人が集まり、16日間で650万リットルのビールが飲まれる。スタッフだけで1万3千人。ビール1杯が約2,500円。 「いったいどんな祭りなんだ……」と気になり続けていた私たちシュマッツメンバー4名も、昨年ついにミュンヘンのオクトーバーフェストに行ってきました。現地で驚いたことは山ほどあって、その話は次回から「訪問記」シリーズとして詳しくお伝えするつもりです。まずはこの記事で、オクトーバーフェストの全体像を掴んでもらえれば! 1810年、一人の花嫁の名前から始まった オクトーバーフェストが生まれたのは、1810年10月17日のことです。 バイエルン王国の皇太子ルートヴィヒ(後のルートヴィヒ1世)が結婚した記念に、ミュンヘン郊外の草原で競馬大会が開かれました。なんと約4万人の市民が集まって盛大に祝ったといいます。   「テレーゼの草地」という名前の由来 この草原に、バイエルン王マクシミリアン1世が名前をつけました。「この場所を、花嫁テレーゼへの敬意を込めて"テレーゼの草地"と呼ぼう」──それが今も残る「テレージエンヴィーゼ(Theresienwiese)」の由来です。ミュンヘン市民には「ヴィースン(Wiesn)」と略して呼ばれ、200年以上たった今もその名前は変わっていません。 翌年からは農業品評会が加わり、やがて娯楽施設も増え、大手醸造所が大型テントを建て始め──今の形になるまで200年かかっているわけです。 ちなみに、最初のきっかけとなった競馬大会はなんと1960年まで続いていました。ビール祭りとして定着した今では想像しにくいですが、実は一世紀半にわたって馬が走っていた。そんな意外な歴史もオクトーバーフェストの面白さです。   戦争もコロナも乗り越えて、今年で191回目 200年の歴史の中で、オクトーバーフェストは約24回中止されてきました。戦争・コレラの流行・ハイパーインフレーション、そして記憶に新しい2020〜2021年のコロナによる2年連続中止。1813年以来最長のブランクでした。それでも毎回復活してきた祭りが、2026年で第191回目を迎えます。 なぜ「10月祭」なのに9月に始まるの? 「Oktoberfest(10月のお祭り)なのに、なぜ9月から始まるの?」 これ、多くの方がひっかかるポイントですよね。答えはシンプルで、ミュンヘンの10月の天気が悪いからです。 答えは1872年の「吹雪」にある 記録によれば、1829年の開催中には突然の吹雪でテントが全閉鎖に追い込まれたこともあります。一方で9月末には「インディアンサマー(Altweibersommer)」と呼ばれる穏やかな晴天が続く。それならいっそ早めよう、ということで1872年に開幕が9月に変更されました。 「10月祭」という名前だけが残り、中身は9月に移った。なんとも実用的な理由ですが、それがドイツらしい(笑)。 現在のルールでは「9月第3土曜日に開幕、10月第1日曜日または10月3日のいずれか遅い方で閉幕」。**2026年は9月19日(土)〜10月4日(日)**の16日間です。 その規模、想像を超えてくる 正直に言うと、現地に行くまで「大きなビール祭りね」くらいにしか思っていませんでした。でも実際に会場に足を踏み入れた瞬間、考えが変わりました。 650万人・42ヘクタール・38棟のテント テレージエンヴィーゼの広さは42ヘクタール(東京ドーム約9個分)。そこに大テント14棟・小テント21棟が並び、総座席数は約12万席。2025年の実績では16日間で650万人が来場し、650万リットルのビールが消費されました。史上最高は2023年の720万人で、これは1985年の710万人という記録を40年ぶりに更新したもの。 6つの醸造所が競うビールの世界 オクトーバーフェストで飲めるビールは、ミュンヘンの公式6醸造所のものだけと決まっています。Augustiner(アウグスティーナー)・Paulaner(パウラーナー)・Löwenbräu(レーヴェンブロイ)・Hofbräu(ホフブロイ)・Hacker-Pschorr(ハッカー・プショル)・Spaten(シュパーテン)。  ...

シュマッツのボトルに傷がある理由──ドイツから旅してきたビール瓶ならではの事情

シュマッツのボトルに傷がある理由──ドイツから旅してきたビール瓶ならではの事情

シュマッツのボトルに傷がある理由──ドイツから旅してきたビール瓶ならではの事情 シュマッツのボトルに小さな傷がある理由、気になったことはありませんか?ドイツの成熟したエコ文化と、瓶が旅してきたストーリーをご紹介。ビール ボトル ギフトを贈る前にぜひ読んでみてください。 シュマッツのビールを受け取ったとき、ボトルの表面に小さな傷を見つけて「あれ?」と思ったことはありませんか?ラベルが少し剥がれかけていて、ちょっと心配になった方もいるかもしれません。 でも実は、その傷にもラベルにも、ちゃんとした理由があります。知ると思わず誰かに話したくなる、ドイツのビール文化の話です。飲み終わった後のビールボトルの活用法についてもご紹介します。 ■ そのボトルの傷、実はドイツからの贈り物 シュマッツのスタッフも、お客様から「ボトルに傷がついていたんだけど…」とご連絡をいただくことがあります。初めて見ると「不良品かな?」と思うのも自然なこと。でも聞いてください。その傷はボトルが"旅をしてきた証"なんです。 なぜ旅をするのか。それはシュマッツのビール瓶が、ドイツで当たり前に運用されているリターナブルボトル(再利用ボトル)だから。飲み終わったら捨てるのではなく、回収されて、洗浄されて、また新しいビールを詰めて誰かの手元へ届く。そんなサイクルをくり返す中で、ボトルはじわじわと傷を重ねていくんです。   ■ ドイツのビールは、なんと9割以上が瓶 まず少し驚く話から。日本ではコンビニやスーパーに缶ビールが山積みになっていますよね。でもドイツは全然違います。ドイツのビール市場では約9割が瓶ビール。缶は少数派で、瓶こそがビールの"当たり前の姿"なんです。 ▼ 瓶文化の根っこにあるのはエコへの本気 その背景にあるのが、ドイツ人の環境意識の高さです。ドイツでは瓶ビールのほとんどがMehrwegflasche(メアヴェークフラッシェ)と呼ばれるリターナブルボトルとして設計されています。"mehrweg"はドイツ語で「何度も使える」という意味。瓶は一度使って終わりではなく、何度も何度も洗浄・再充填されながら、社会の中をぐるぐると循環し続けます。 ▼ 街の日常に瓶ビールが溶け込んでいる ドイツを訪れると、駅前のベンチや広場で、友人とボトルを片手にカジュアルに乾杯している人たちをよく目にします。グラスもテーブルも要らない、ボトルそのままで気軽に一杯やっている。それが特別な場面ではなく、ごくごく普通の日常の風景なんです。瓶ビールとドイツ人の距離の近さに、本場のビール文化の深さを感じずにはいられません。 ■ Pfand(プファント)── ボトルを旅させるしくみ このリターナブル文化を支えているのが、Pfand(プファント)と呼ばれるデポジット制度です。 ▼ 仕組みはシンプル、でも徹底されている ドイツでビールを買うとき、商品代金にプラスしてビール1本あたり8セント(約13円)のPfandが上乗せされます。飲み終わったら空き瓶をスーパーの回収機に入れるだけで、8セントが返ってくる。このシンプルな仕組みが全国約13万5,000か所で機能していて、ボトルはほぼ確実に回収・再利用の旅へと戻っていきます。 道端や公園に空き瓶が捨てられているのを見かけないのも、このシステムのおかげ。もし落ちていても、Pfandを目当てにすかさず拾ってくれる人がいるくらい、この制度はドイツ社会に深く根付いています。   ▼...

シュマッツのボトルに傷がある理由──ドイツから旅してきたビール瓶ならではの事情

シュマッツのボトルに傷がある理由──ドイツから旅してきたビール瓶ならではの事情 シュマッツのボトルに小さな傷がある理由、気になったことはありませんか?ドイツの成熟したエコ文化と、瓶が旅してきたストーリーをご紹介。ビール ボトル ギフトを贈る前にぜひ読んでみてください。 シュマッツのビールを受け取ったとき、ボトルの表面に小さな傷を見つけて「あれ?」と思ったことはありませんか?ラベルが少し剥がれかけていて、ちょっと心配になった方もいるかもしれません。 でも実は、その傷にもラベルにも、ちゃんとした理由があります。知ると思わず誰かに話したくなる、ドイツのビール文化の話です。飲み終わった後のビールボトルの活用法についてもご紹介します。 ■ そのボトルの傷、実はドイツからの贈り物 シュマッツのスタッフも、お客様から「ボトルに傷がついていたんだけど…」とご連絡をいただくことがあります。初めて見ると「不良品かな?」と思うのも自然なこと。でも聞いてください。その傷はボトルが"旅をしてきた証"なんです。 なぜ旅をするのか。それはシュマッツのビール瓶が、ドイツで当たり前に運用されているリターナブルボトル(再利用ボトル)だから。飲み終わったら捨てるのではなく、回収されて、洗浄されて、また新しいビールを詰めて誰かの手元へ届く。そんなサイクルをくり返す中で、ボトルはじわじわと傷を重ねていくんです。   ■ ドイツのビールは、なんと9割以上が瓶 まず少し驚く話から。日本ではコンビニやスーパーに缶ビールが山積みになっていますよね。でもドイツは全然違います。ドイツのビール市場では約9割が瓶ビール。缶は少数派で、瓶こそがビールの"当たり前の姿"なんです。 ▼ 瓶文化の根っこにあるのはエコへの本気 その背景にあるのが、ドイツ人の環境意識の高さです。ドイツでは瓶ビールのほとんどがMehrwegflasche(メアヴェークフラッシェ)と呼ばれるリターナブルボトルとして設計されています。"mehrweg"はドイツ語で「何度も使える」という意味。瓶は一度使って終わりではなく、何度も何度も洗浄・再充填されながら、社会の中をぐるぐると循環し続けます。 ▼ 街の日常に瓶ビールが溶け込んでいる ドイツを訪れると、駅前のベンチや広場で、友人とボトルを片手にカジュアルに乾杯している人たちをよく目にします。グラスもテーブルも要らない、ボトルそのままで気軽に一杯やっている。それが特別な場面ではなく、ごくごく普通の日常の風景なんです。瓶ビールとドイツ人の距離の近さに、本場のビール文化の深さを感じずにはいられません。 ■ Pfand(プファント)── ボトルを旅させるしくみ このリターナブル文化を支えているのが、Pfand(プファント)と呼ばれるデポジット制度です。 ▼ 仕組みはシンプル、でも徹底されている ドイツでビールを買うとき、商品代金にプラスしてビール1本あたり8セント(約13円)のPfandが上乗せされます。飲み終わったら空き瓶をスーパーの回収機に入れるだけで、8セントが返ってくる。このシンプルな仕組みが全国約13万5,000か所で機能していて、ボトルはほぼ確実に回収・再利用の旅へと戻っていきます。 道端や公園に空き瓶が捨てられているのを見かけないのも、このシステムのおかげ。もし落ちていても、Pfandを目当てにすかさず拾ってくれる人がいるくらい、この制度はドイツ社会に深く根付いています。   ▼...

ドイツビールの選び方を知ると、ビールが変わる──スタイル・色・季節から読み解く、面白すぎる醸造の世界

ドイツビールの選び方を知ると、ビールが変わる──スタイル・色・季節から読み解く、面白すぎる醸造の世界

ドイツビールの選び方を知ると、ビールが変わる──スタイル・色・季節から読み解く、面白すぎる醸造の世界 ドイツビールの選び方ってなんか難しそう?実は知るほど面白いエピソードだらけです。ヘレスは「裏切り者」と呼ばれた歴史があり、ライン川を越えたビールの闘いが今でも続いている。スタイル・色・季節で読み解くガイド。 「ドイツビールって種類が多くてなんか難しそう…」と思っていませんか?わかります!でも実は知れば知るほど、面白いエピソードだらけなんです。今回はドイツビールの選び方を、難しい専門用語ではなく「なるほど!」な物語でお届けします。気軽に読んでみてください! ◎ドイツビールが「種類で選ぶもの」である理由 日本の居酒屋で「とりあえずビール!」と注文するとき、ジョッキか瓶かを指定することはあっても「スタイル」や「銘柄」まで意識することは少ないですよね。でもドイツでは、ビールを「何系にする?」から考えるのが当たり前なんです!   約1,500もの醸造所、地域ごとに異なるビール文化 ドイツには現在、約1,500の醸造所があります。そしてそれぞれの地域に、独自のビールスタイルとそれを飲むための文化がある。バイエルンにはヴァイツェンとヘレスがあり、フランケンにはラオホビールがあり、北ドイツにはピルスナーがある。旅行でドイツを訪れると、その土地のビールをついつい全部試したくなるのは、この多様性があるからです!   ケルンとデュッセルドルフ──隣同士が「違うビール」を飲む理由 特にユニークなのが、ライン川沿いの2都市の話。ケルンの人はケルシュ、デュッセルドルフの人はアルトビールを、それぞれ頑固に飲み続けています。この2つ、実は味わいがかなり似ているんですが、地元民同士は絶対に相手のビールを認めません(笑)。 「ケルシュとアルトはどっちがうまいか」はドイツ人の間では永遠の議論。「ビールで地域を守る」文化が、ドイツのビールを面白くしている理由のひとつですね! ◎まず知っておきたい「2つの系統」 ドイツビールは大きく2つの発酵方法に分かれます。まずここだけ押さえておけば、選び方がグッとラクになります!   【スッキリ・安定のラガー系(Lager)】 ラガーは「低温発酵・低温熟成」で作られるビールです。発酵に使う酵母がタンクの下に沈む方法で、低温でじっくり熟成させるため、味が安定していてクリアでスッキリとした飲み口が生まれます。 ピルスナー、ヘレス、メルツェン、ボック……日本で「ビール」と聞いてイメージするゴールデン系は、ほぼラガーです。「安定感のある飲みやすいビールが好き」な方は、まずラガー系から!   【フルーティー・個性豊かのエール系(Ale)】 エールは「高温発酵」で作られ、酵母がタンクの上に浮かびます。発酵温度が高いので酵母が活発に働き、フルーティーな香りや複雑な味わいが生まれやすい。 ヴァイツェン(白ビール)、ケルシュ、アルトビールがエール系。「なんか個性的な香りがする!」と感じるビールは、たいていエール系です。 ◎最初の一杯におすすめの3スタイル ドイツビールを飲んでみたいけど何から試せばいい?という方に、まず飲んでほしい3スタイルを紹介します!   ▶️ ヘレス──1894年に「裏切り者」と呼ばれた黄金ビール ヘレスはミュンヘン生まれの淡色ラガーです。澄んだ黄金色、きめ細かい泡、すっきりとした麦の甘み。「ビールといえばこれ!」な一杯です。 じつはヘレスが生まれた1894年、ミュンヘン市民から「バイエルンの裏切り者」と呼ばれたという逸話があります。当時ミュンヘンの主流は琥珀色のラガーで、北ドイツで流行していた淡色のピルスナーに対抗しようとミュンヘンの醸造所が開発したのがヘレスでした。「北のビールの真似事をして」とバッシングされながらも、今ではバイエルンの定番として定着!「裏切り者」が王道になった話、なんかいいですよね。 シュマッツのヘレスについてはこちら...

ドイツビールの選び方を知ると、ビールが変わる──スタイル・色・季節から読み解く、面白すぎる醸造の世界

ドイツビールの選び方を知ると、ビールが変わる──スタイル・色・季節から読み解く、面白すぎる醸造の世界 ドイツビールの選び方ってなんか難しそう?実は知るほど面白いエピソードだらけです。ヘレスは「裏切り者」と呼ばれた歴史があり、ライン川を越えたビールの闘いが今でも続いている。スタイル・色・季節で読み解くガイド。 「ドイツビールって種類が多くてなんか難しそう…」と思っていませんか?わかります!でも実は知れば知るほど、面白いエピソードだらけなんです。今回はドイツビールの選び方を、難しい専門用語ではなく「なるほど!」な物語でお届けします。気軽に読んでみてください! ◎ドイツビールが「種類で選ぶもの」である理由 日本の居酒屋で「とりあえずビール!」と注文するとき、ジョッキか瓶かを指定することはあっても「スタイル」や「銘柄」まで意識することは少ないですよね。でもドイツでは、ビールを「何系にする?」から考えるのが当たり前なんです!   約1,500もの醸造所、地域ごとに異なるビール文化 ドイツには現在、約1,500の醸造所があります。そしてそれぞれの地域に、独自のビールスタイルとそれを飲むための文化がある。バイエルンにはヴァイツェンとヘレスがあり、フランケンにはラオホビールがあり、北ドイツにはピルスナーがある。旅行でドイツを訪れると、その土地のビールをついつい全部試したくなるのは、この多様性があるからです!   ケルンとデュッセルドルフ──隣同士が「違うビール」を飲む理由 特にユニークなのが、ライン川沿いの2都市の話。ケルンの人はケルシュ、デュッセルドルフの人はアルトビールを、それぞれ頑固に飲み続けています。この2つ、実は味わいがかなり似ているんですが、地元民同士は絶対に相手のビールを認めません(笑)。 「ケルシュとアルトはどっちがうまいか」はドイツ人の間では永遠の議論。「ビールで地域を守る」文化が、ドイツのビールを面白くしている理由のひとつですね! ◎まず知っておきたい「2つの系統」 ドイツビールは大きく2つの発酵方法に分かれます。まずここだけ押さえておけば、選び方がグッとラクになります!   【スッキリ・安定のラガー系(Lager)】 ラガーは「低温発酵・低温熟成」で作られるビールです。発酵に使う酵母がタンクの下に沈む方法で、低温でじっくり熟成させるため、味が安定していてクリアでスッキリとした飲み口が生まれます。 ピルスナー、ヘレス、メルツェン、ボック……日本で「ビール」と聞いてイメージするゴールデン系は、ほぼラガーです。「安定感のある飲みやすいビールが好き」な方は、まずラガー系から!   【フルーティー・個性豊かのエール系(Ale)】 エールは「高温発酵」で作られ、酵母がタンクの上に浮かびます。発酵温度が高いので酵母が活発に働き、フルーティーな香りや複雑な味わいが生まれやすい。 ヴァイツェン(白ビール)、ケルシュ、アルトビールがエール系。「なんか個性的な香りがする!」と感じるビールは、たいていエール系です。 ◎最初の一杯におすすめの3スタイル ドイツビールを飲んでみたいけど何から試せばいい?という方に、まず飲んでほしい3スタイルを紹介します!   ▶️ ヘレス──1894年に「裏切り者」と呼ばれた黄金ビール ヘレスはミュンヘン生まれの淡色ラガーです。澄んだ黄金色、きめ細かい泡、すっきりとした麦の甘み。「ビールといえばこれ!」な一杯です。 じつはヘレスが生まれた1894年、ミュンヘン市民から「バイエルンの裏切り者」と呼ばれたという逸話があります。当時ミュンヘンの主流は琥珀色のラガーで、北ドイツで流行していた淡色のピルスナーに対抗しようとミュンヘンの醸造所が開発したのがヘレスでした。「北のビールの真似事をして」とバッシングされながらも、今ではバイエルンの定番として定着!「裏切り者」が王道になった話、なんかいいですよね。 シュマッツのヘレスについてはこちら...

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